術科特別訓練

術科特別訓練について

術科特別訓練（じゅつかとくべつくんれん）は、日本の警察において、警察官が必要とする技術や体力を向上させるための専門的な訓練です。主な分野には柔道、剣道、逮捕術、けん銃射撃、さらには白バイの乗務技術が含まれます。この訓練は、略称として「特練」と呼ばれています。

概要

この訓練は各都道府県警察および皇宮警察本部で行われ、基礎的な技術だけでなく、高度な体育的能力を備えた警察官を育成します。特に、機動隊に所属する警察官においては、特練員の指定を受けた者が多く、その数は県によって異なりますが、通常は10名から30名程度となっています。特に白バイに関しては独自の選考が行われ、交通機動隊から選ばれることが一般的です。

さらに、訓練生は全国警察柔道大会や全国警察剣道大会、世界柔道選手権大会、オリンピックなど、さまざまな大会にも参加し、技術を競い合っています。これらの大会は、警察官の技術向上だけでなく、警察の威信を高める場ともなっています。

評価と課題

術科特別訓練に関しては、警察の伝統を受け継ぎ、警察官の心身の鍛錬に役立っています。しかし、特練員が武道訓練に専念するあまり、通常の警察業務をおろそかにしてしまうという批判も存在します。特練員は、税金を浪費しているとの声も聞かれ、実際の犯人制圧へつながる実戦的な訓練ではなく、勝利を目指す競技的な側面が強くなりがちです。

昭和40年に発行された『警視庁武道九十年史』では、警察武道が試合の結果に過度にこだわっているとの指摘があります。警察武道の目的は、体力や気力を養うことであって、勝つこと自体が目的ではないという認識が求められています。

武道小隊・武道専科

また、警視庁では「武道小隊」や「武道専科」といった独自の制度も設けており、これらは術科特別訓練の延長線上に位置しています。武道小隊は各機動隊に設置され、1年以上の訓練を経て、選ばれた者が武道指導者となるための武道専科に進むことができます。武道専科では、伝統的な剣道だけでなく、他流派の技術も学ぶことができ、非常に充実した教育が行われています。

修了後は各警察署で武道指導者としての役割を担いますが、その過程で古流武道の知識を持つ警察官が多く育成されています。このように、日本の警察において術科特別訓練は、伝統的な技術を守りながらも、現代のニーズに応じた柔軟な運営が求められています。

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