衛戍教会

ポツダム衛戍教会：栄光と破壊、そして再生への歩み

ドイツ連邦共和国ブランデンブルク州ポツダムにあった衛戍教会は、バロック様式を誇る福音主義教会として知られていました。プロイセン王国の歴史と深く結びつき、その興亡を象徴する存在でもありました。

プロイセン王朝の庇護のもと

1730年代、プロイセン王フリードリヒ・ヴィルヘルム1世の命により、建築家フィリップ・ゲルラッハによって建設されました。宮廷と駐屯兵のための教会として、1732年に奉献された衛戍教会は、すぐに市民にも広く利用される存在となりました。フリードリヒ・ヴィルヘルム1世自身、1740年の崩御後、ここに埋葬されました。その後、1786年にはフリードリヒ大王も、本人の遺志とは反してここに埋葬されています。

衛戍教会は、プロイセン王国の歴史における重要な舞台となりました。ロシア皇帝アレクサンドル1世やナポレオンも、フリードリヒ大王の墓所を訪れています。ポツダム市議会最初の自由選挙や、ルター派と改革派教会の合同式典もこの地で行われました。ナチス政権は、プロイセン王国の伝統を自らの正当性の根拠と位置づけ、1933年に衛戍教会で式典を開催しています。また、7月20日事件に関与した者たちも、この教会に参拝していました。

戦禍と破壊

第二次世界大戦末期の1945年、空襲により衛戍教会は壊滅的な被害を受けました。身廊と鐘楼は破壊され、外壁だけが辛うじて残りました。残された外壁を利用して、一時的に聖十字教会が建てられましたが、東ドイツ時代、1971年に東ドイツ政府は残りの外壁も取り壊し、跡地にはコンピューティングセンターが建設されました。

再建への取り組み

衛戍教会の破壊から数十年後、2004年に市民団体による再建運動が始まりました。2008年にはポツダム衛戍教会財団が設立され、再建に向けた活動が本格化しました。この運動は、衛戍教会を単なる教会として再建するだけでなく、ドイツとヨーロッパの協力の象徴として再生しようという願いが込められています。2013年には、文化・メディア連邦政府委員会が衛戍教会を重要文化財に指定し、再建資金が拠出されました。現在も、再建に向けた努力が続けられています。

衛戍教会が持つ意味

衛戍教会は、単なる建造物ではなく、プロイセン王国、そしてドイツの歴史を深く刻み込んだ場所です。王家の墓所、重要な歴史的イベントの舞台、そして市民の信仰の拠り所として、その存在はドイツの歴史と深く関わっています。再建への取り組みは、過去の反省と未来への希望を込めた、重要な試みと言えるでしょう。破壊と再建という歴史的過程を経て、衛戍教会は、歴史を学ぶ場、そして未来への希望を象徴する場所として、その役割を担うことになるでしょう。

参考文献

Reinhard Appel, Andreas Kitschke: Der Wiederaufbau der Potsdamer Garnisonkirche. Lingen Verlag, Köln 2006, ISBN 3-937490-70-1.
Ludwig Bamberg: Die Potsdamer Garnisonkirche. Baugeschichte - Ausstattung - Bedeutung. Lukas Verlag, Berlin 2006, ISBN 3-936872-86-4.
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