衣川信号場

衣川信号場（ころもがわしんごうじょう）

衣川信号場は、かつて岩手県西磐井郡平泉町に設けられていた日本国有鉄道（国鉄）東北本線の信号場である。その存在期間は比較的短く、特定の目的のために開設され、その役目を終えた後に廃止された。

歴史

この信号場は、太平洋戦争末期の1945年（昭和20年）8月15日に開設された。当時の東北本線における輸送力増強という喫緊の課題に対応するため、平泉駅と前沢駅のほぼ中間地点にあたる、平泉駅から北におよそ4キロメートルの位置に設置された。

しかし、時代が進み、平泉駅と前沢駅間の複線化工事が進行した。1966年（昭和41年）3月21日には、当信号場を含む区間が複線化され、これに伴い信号場の施設は旧線扱いとなりその役目を終えた。そして、わずか1ヶ月後の同年4月21日に正式に廃止された。

衣川信号場の歴史においては、自然災害や関連施設の事故も記録されている。1947年（昭和22年）9月にはカスリーン台風によって施設が床上浸水の被害を受けたほか、翌1948年（昭和23年）9月にもアイオン台風により再び水害に見舞われている。

また、信号場から北上川河川敷へ延びる砂利採取専用線が存在し、1948年（昭和23年）6月4日にはこの専用線で推進運転中の列車が脱線転覆し、死傷者が出る痛ましい事故も発生している。この砂利採取活動は1959年（昭和34年）に停止され、専用線のレールも1961年（昭和36年）までに撤去された。

地域の要望として、衣川信号場を旅客や貨物を取り扱う一般駅へ昇格させる請願も存在したが、残念ながらこれは実現しなかった。

年表

衣川信号場およびその周辺施設に関する主な出来事は以下の通りである。

1945年（昭和20年）8月15日：東北本線平泉駅 - 前沢駅間に信号場として開設される。
1947年（昭和22年）9月15日：カスリーン台風による水害で床上浸水被害を受ける。
1948年（昭和23年）6月4日：砂利採取専用線にて列車脱線転覆事故が発生、死傷者が出る。
1948年（昭和23年）9月16日：アイオン台風による水害に見舞われる。
1959年（昭和34年）：川砂利採取活動が停止される。
1961年（昭和36年）：砂利採取専用線のレールが撤去される。
1966年（昭和41年）3月21日：平泉駅 - 前沢駅間が複線化される。
1966年（昭和41年）4月21日：信号場が廃止される。

構造

衣川信号場の具体的な配線構造などは現在不明である。しかし、1948年（昭和23年）9月19日に米軍が撮影した空中写真には、当信号場から北上川の河川敷方面へ分岐する砂利採取専用線と思われる線路と、河川敷に貨物車両らしきものが写っていることから、これが信号場の機能と関連していた可能性がある。

周辺

信号場が位置していた場所の周辺には、岩手県道237号長坂束稲前沢線や北上川が存在する。

隣の駅

日本国有鉄道 東北本線
平泉駅 - 衣川信号場 - 前沢駅

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