袋井市自主運行バス

袋井市のコミュニティバスとして、市民の身近な足となっているのが「袋井市自主運行バス」です。これは地方公営企業によるものではなく、市が外部事業者に委託して運行する公共交通サービスです。主な路線には、南部地域を巡る「メローバス」と北部地域を巡る「フーちゃん号」という愛称が付けられています。これらの路線は、原則として月曜日から金曜日までの平日のみ運行されており、年末年始（12月29日から1月3日まで）および土日祝日は運休となります。

沿革

袋井市自主運行バスの歴史は、2000年 7月17日に南部循環線「メローバス」の運行が始まったことに遡ります。続いて、2002年 1月7日には北部循環線「フーちゃん号」が登場し、市内を巡る二つの主要路線が確立されました。以降、市民の利用状況やニーズに合わせて、運行ルートやダイヤの改正が幾度となく実施されています（例：2002年 4月1日、2006年 4月3日、2009年 11月2日、2011年7月1日、2016年 10月3日）。

特に運営体制においては、2014年 2月にメローバスを運行委託されていたスター観光が経営状況悪化により倒産するという事態が発生しました。この緊急事態に対応するため、市が一時的に公用車を用いた無償運行を行い、その後、さくら交通が新たに運行を担うこととなりました。2019年 4月1日には、運行事業者がさくら交通から遠鉄アシストへ変更されるとともに、それまでバス路線として運行されていた中東遠総合医療センター方面へのルートが、停留所型のデマンドタクシーへと変更される大きな見直しが行われました。

2021年4月1日には、既存の複数路線が統合・再編され、三川・今井・袋井駅線と宇刈・袋井東・袋井駅線が「北部循環線」に、浅羽・田原・袋井駅線と大野・笠原・袋井駅線が「南部循環線」としてリニューアルされました。これに合わせて、浅羽西地区では新たにドアツードア型のデマンドタクシーの運行が開始されています。2023年4月1日には、北部および南部循環線の一部で経路変更が実施されるとともに、運行事業者が遠鉄アシストから遠州鉄道に変更されました。さらに2024年 4月1日には、南部循環線で経由していた白雲荘停留所が廃止されています。

現在の運行路線

現在、袋井市自主運行バスは複数の運行形態・事業者が担っています。主要な路線は以下の通りです。

北部循環線（フーちゃん号）: 袋井駅北口を起点・終点とする循環ルートです。主な経由地は、天神町、山科上、イオン袋井、聖隷袋井市民病院、袋井市役所などです。反時計回りは系統番号51、時計回りは系統番号52が付与されています。一部の始発便はイオン袋井からの運行となります。2023年4月の経路変更により、山田公会堂からイオンの間などのルートが見直されましたが、深見東停留所は引き続き利用できます。
南部循環線（メローバス）: 袋井駅南口を起点・終点とする循環ルートです。主な経由地は、袋井高校入口、浅羽東小学校前、パディ、浅羽支所（メロープラザ）などです。反時計回りは系統番号53、時計回りは系統番号54です。一部の便は柏木を経由します。2023年4月の経路変更により、柏木から大野北の間などのルートが廃止されています。
袋井駅・中東遠総合医療センター線: 袋井駅前と中東遠総合医療センターを結ぶ路線です。主な経由地は、方丈南、下貫名、袋井高校入口、愛野駅南口、平野公会堂前などです。2021年4月には袋井高校入口経由に経路変更され、その後2021年10月に平野公会堂前、2023年4月には下石野停留所が新設されています。この路線は秋葉バスサービスが運行しています。
デマンドタクシー: 主に法多山方面を結ぶ「法多線」は停留所型のデマンドタクシーとして運行されています。これはかつて遠鉄バスが運行していた法多線の廃止代替路線として位置づけられています。主な経由地は、ニチアス、看護学校前、袋井高校入口、法多山などです。2023年4月から袋井駅の乗り場が南口に変更されました。利用には事前の登録と電話予約が必要です。その他、宇刈地区、浅羽東地区、浅羽西地区などでは、自宅など指定場所から指定場所まで利用できるドアツードア型のデマンドタクシーも運行されています。

上記自主運行路線やデマンドタクシーに加え、三川地区や浅羽東地区では、地域住民と市が連携して運行する「地域協働運行バス」も運行されています。

運賃

袋井市自主運行バスの運賃は、路線によって異なりますがいずれも手頃な料金設定です。北部循環線と南部循環線は大人100円均一、袋井駅・中東遠総合医療センター線と停留所型デマンドタクシーは大人200円均一です。ドアツードア型デマンドタクシーは大人400円均一（乗合利用の場合は300円均一）となっています。いずれの路線も未就学児は無料で利用できます。現在、原則として運賃の支払いは現金のみとなっており、乗車カード類は利用できません（袋井駅・中東遠総合医療センター線を除く）。ただし、袋井駅・中東遠総合医療センター線では、2025年 3月20日からPayPayやau PAY、d払いなどの各種QRコード決済による支払いが可能となり、将来的には自主運行を含む全線での対応が計画されています。なお、停留所型デマンドタクシーを利用する際は、あらかじめ利用者登録証を取得し、利用ごとに電話予約が必要となります。

車両

各路線で運用される車両は、運行事業者や路線の特性によって異なります。北部循環線と南部循環線では、2019年 4月1日以降、主に10人乗りのワンボックス型車両が使用されています。これはそれまで中心だった小型バスなどから小型化されたものです。一方、秋葉バスサービスが運行する袋井駅・中東遠総合医療センター線では、比較的大型または中型のバス車両が使われています。過去には、メローバスで小型バスが運行されていましたが、2009年10月31日をもってバス車両での運行は終了し、その後は小型車両が中心となりました。

まとめ

袋井市自主運行バスは、長年にわたり運行形態や事業者の変更を経ながら、現在も袋井市内の公共交通ネットワークを支える重要な役割を担っています。循環路線、医療機関へのアクセス、デマンド交通など多様なサービス形態を提供し、地域住民の日常生活をサポートしています。

もう一度検索