袋井駅

袋井駅

静岡県袋井市高尾に位置する袋井駅は、東海旅客鉄道（JR東海）が運営する東海道本線の駅です。駅番号はCA29が付与されており、地域の重要な交通拠点としての役割を担っています。本稿では、現在のJR袋井駅に加え、かつて同じ袋井の地に存在した静岡鉄道駿遠線および秋葉線の新袋井駅についても詳しく解説します。

歴史

袋井駅の歴史は、明治22年（1889年）4月16日に官設鉄道（現在のJR東海道本線）が静岡駅から浜松駅まで開通した際に、その開業を迎えることから始まりました。その後、明治28年（1895年）4月1日には正式に東海道線の所属駅となり、明治42年（1909年）には現在の東海道本線へと名称が変更されました。鉄道網が広がるにつれて、他の私鉄も袋井に乗り入れるようになります。明治35年（1902年）12月28日には、秋葉馬車鉄道（後に静岡鉄道秋葉線となる）が駅前に乗り入れを開始しました。続いて大正3年（1914年）1月12日には、中遠鉄道（後の静岡鉄道駿遠線）の袋井新駅が開業し、袋井は国鉄と私鉄が乗り入れる交通の結節点となっていきます。

戦後の復興期を経て、駅施設も近代化が進みます。昭和34年（1959年）10月14日には、鉄筋コンクリート造りの平屋駅舎に改築されました。しかし、地方私鉄の路線廃止が進む中で、袋井から発着していた静岡鉄道の路線もその姿を消していきます。昭和37年（1962年）9月20日には秋葉線の新袋井駅が、そして昭和42年（1967年）8月28日には駿遠線の袋井駅がそれぞれ廃止されました。

時代の変化に伴い、駅の役割も変わります。国鉄時代の昭和59年（1984年）1月21日には貨物の取扱が廃止され、翌昭和60年（1985年）3月14日には荷物の取扱も終了し、旅客輸送に特化した駅となります。昭和62年（1987年）2月17日にはみどりの窓口が開設され、サービスが拡充。同年4月1日には国鉄分割民営化に伴い、東海旅客鉄道（JR東海）の駅として新たなスタートを切りました。平成4年（1992年）11月14日には自動改札機が導入され、乗降がスムーズになります。

平成に入り、駅の利便性向上のための大規模な改修計画が持ち上がります。平成19年（2007年）6月には、JR東海と袋井市の間で南北自由通路の新設と駅舎の橋上化に向けた協議が開始され、その後国との費用負担に関する調整も進められました。平成20年（2008年）3月1日にはICカード「TOICA」のサービスが開始され、利用範囲が広がります。そして平成26年（2014年）11月30日、長年の計画が実を結び、橋上駅舎と南北自由通路が完成しました。この自由通路は「どまん中通り」、北口は「秋葉口」、南口は「駿遠口」という愛称が付けられ、駅は市の南北を結ぶ新たなシンボルとなりました。

駅構造

現在の袋井駅は、地上に設置された駅舎とホームから成る地上駅です。ホームは3面4線を有しており、その配置は構内北側から順に、駅舎、1番線（単式ホーム）、2・3番線（島式ホーム）、4番線（単式ホーム）となっています。このうち2番線と3番線が列車が主に走行する本線として機能しており、1番線と4番線は副本線として使用されています。
駅にはJR全線きっぷうりばが設置されており、乗車券や特急券などの購入が可能です。また、駅長が配置されている直営駅であり、駅員が常駐して旅客対応や駅の管理業務を行っています。袋井駅は管理駅として、隣の愛野駅も管轄しています。

のりば

ホームは1番線から4番線までありますが、現在の定期列車のダイヤでは1番線と4番線に列車が発着することはありません。これらの番線は、臨時列車が停車する際に使用されるほか、ダイヤが乱れた際の列車の待避や、貨物列車、工事車両、回送列車の一時的な留置場所として活用されています。特に、毎年8月上旬に原野谷川親水公園で開催される「ふくろい遠州の花火」開催時には、当駅を終着または始発とする臨時列車が設定され、これらの番線が活用されることがあります。

かつての私鉄駅：新袋井駅

袋井の地には、JR（当時は国鉄）駅の他にも、かつて静岡鉄道が運営していた二つの路線の駅が存在しました。一つは駿遠線の駅で、この駅は国鉄の構内南側に隣接しており、国鉄の駅とは跨線橋によって結ばれていました。駿遠線の駅名は時代によって「袋井新駅」「袋井駅」「社袋井駅」「新袋井駅」と表記が変化しました。
もう一つは秋葉線の駅で、こちらの駅は国鉄袋井駅の駅前広場北側に位置していました。駅舎は備えていたものの、ホームはなく、代わりに木製の踏み台を利用して列車の乗り降りを行っていたという特徴があります。

中遠碑

昭和18年（1943年）5月15日、戦時体制下の統合により、中遠鉄道は静岡鉄道と合併・改称しました。同年8月には、中遠鉄道の歴史的な功績を後世に伝える目的で、「中遠碑」が旧中遠線の袋井駅構内に建立されました。碑文は当時の井浪茂三郎氏によるもので、文字の揮毫は五島慶太氏が行っています。駿遠線が廃止された後も、この碑は長らく元の場所に立っていましたが、平成15年（2003年）3月に袋井駅周辺の再開発事業が進められることになり、現在の袋井市掛之上にある和光商事の敷地内に移設され、現在も大切に保存されています。

利用状況

静岡県が公表している統計年鑑によると、近年における袋井駅の利用状況は安定した推移を見せています。令和3年度（2021年度）のデータでは、1日あたりの平均乗車人員は3,869人でした。平成5年度（1993年度）以降、年間約140万人前後の乗車人員で推移しており、地域住民の通勤・通学や商業施設へのアクセスなど、日々の暮らしを支える重要な役割を果たしています。

駅周辺

袋井駅の北口側にはロータリーが整備されており、路線バスやタクシーの乗り場が集約されています。駅前から北へ向かっては静岡県道275号袋井停車場線が延びています。駅の北方約500メートルほどの場所には原野谷川が流れており、西側で南へと向きを変えながら東海道本線と交差しています。一方、駅の南側は土地区画整理事業が進められ、平成23年（2011年）には大規模なショッピングモール「ノブレスパルク袋井」が開業するなど、新たな商業地域としての発展が見られます。

バス路線

袋井駅からは、北口と南口それぞれにバス路線が運行されており、周辺地域へのアクセスを補っています。

北口

バス停名は運行会社によって異なり、秋葉バスサービスは「袋井駅前」、袋井市自主運行バスは「袋井駅北口」と称しています。

• - 1番乗り場（秋葉バスサービス）:

- 秋葉線：袋井市民病院・気多方面
- 秋葉中遠線：遠州森町方面

• - 2番乗り場（袋井市自主運行バス）:

- 袋井駅・中東遠総合医療センター線：中東遠総合医療センター方面（平日のみ運行）
- 北部循環線：袋井駅北口方面へ循環（平日のみ運行）

• - 3番乗り場（秋葉バスサービス）:

- 秋葉中遠線：大東支所方面（平日朝の一部便のみ運行）

※なお、4番乗り場は降車専用となっています。

南口

バス停名称は「袋井駅南口」です。

• - （秋葉バスサービス）:

- 秋葉中遠線：横須賀車庫・大東支所方面

• - （袋井市自主運行バス）:

- 南部循環線：袋井駅南口方面へ循環（平日のみ運行）

隣の駅

JR東海東海道本線における袋井駅の隣駅は以下の通りです。（特急やライナー列車などの停車駅については別途運行情報をご確認ください。）

• - 東海道本線 (CA)

- 愛野駅 (CA28) ← 袋井駅 (CA29) → 御厨駅 (CA30)

（この記述は公開情報を基に構成されています）

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