秋葉バスサービス

秋葉バスサービス株式会社は、静岡県周智郡森町に本社を構える、静岡鉄道の全額出資子会社です。主に静岡県の中遠地方、具体的には袋井市を中心に、周辺の森町、掛川市、浜松市（旧春野町）、磐田市といった地域で一般路線バスの運行を担っています。

概要

当社の路線網は、JR東海道本線の袋井駅を中心にして広がっています。主要な幹線として、かつての静岡鉄道秋葉線の経路を引き継ぐ「秋葉線」と、静岡鉄道駿遠線の代替となる「秋葉中遠線」があります。本社車庫は、以前の静岡鉄道秋葉線遠州森町駅の跡地に位置しており、歴史的な繋がりを感じさせます。

沿革

秋葉バスサービスは、1996年（平成8年）4月に会社として設立されました。これは、静岡鉄道袋井営業所が管轄していた路線群のうち、森町営業所が担当していた森町以北の路線を引き継ぎ、分社化する形で誕生しました。その後、1997年（平成9年）9月には「磐田線」が静岡鉄道から譲渡され、既存路線に加わります。

路線の拡張も行われ、2003年（平成15年）4月には「秋葉線」の袋井駅への乗り入れが実現しました。2004年（平成16年）には「可睡の杜線」の運行を開始しましたが、同年に「清流気田川線」や「熊切線」といった一部路線は廃止され、地域自治体が主体となる自主運行バスへと移行し、他社が運行を受託する形となりました。

その後も路線の再編は続き、2007年（平成19年）4月にしずてつジャストラインから「今井線」を譲受。しかし2008年（平成20年）4月には「吉川線」「大河内線」が森町営バスへ移管され、再び他社受託に。2009年（平成21年）10月には、今度はしずてつジャストラインから「秋葉中遠線」が譲受され、当社の主要幹線となりました。この年には運賃改定（値上げ）も実施されています。

2013年（平成25年）3月には「杉・川上線」が春野ふれあいバスへ移行し、同時期の5月には袋井市が新設した自主運行バス「袋井駅・中東遠総合医療センター線」の運行を受託することになりました。2015年（平成27年）10月には「秋葉中遠線」が袋井駅南口への乗り入れを開始し利便性を向上させましたが、「可睡の杜線」は2016年（平成28年）10月に廃止されています。

近年の動きとしては、2019年（平成31年）4月30日に磁気カード式乗車券「パサールカード」の販売を終了（利用は2020年 3月31日終了）。2020年（令和2年）8月には運賃箱が更新され、両替方式から釣銭方式へ変更されました。2023年（令和5年）9月25日にはスマートフォンを利用した定期券の導入（10月1日より開始）が発表され、運賃支払い方法の多様化が進んでいます。また、2023年6月の大雨で不通となっていた秋葉線の一部区間は、2025年（令和7年）1月6日に全線で運行を再開しました。一方で、2025年 3月20日には各種QRコード決済での運賃支払いが可能となり、さらに同年4月1日には「今井線」が廃止されるなど、サービスの変化が続いています。

主な現行路線

秋葉線：袋井駅前を起点とし、森町を経て浜松市天竜区春野町を結ぶ基幹路線です。元々は静岡鉄道秋葉線の代替バスとして開設されました。地域間幹線系統として、国や県、沿線自治体からの運行補助を受けています。特定の区間では自由降車制度が導入されています。
秋葉中遠線：大東支所と遠州森町を結ぶ路線で、袋井駅を経由する系統や、かつて運行されていた複数路線を統合して形成されました。現在は秋葉バスによる単独運行です。袋井駅南口やイオン袋井店前を経由する系統など、運行パターンが複数あります。
磐田線（自主運行）：磐田駅前から森町方面へ運行される、磐田市、袋井市、森町の共同運営による自主運行バスです。平日のみの運行で、昭和初期から続く歴史のある路線を引き継いでいます。
袋井駅・中東遠総合医療センター線（自主運行）：袋井駅と中東遠総合医療センターを結ぶ路線で、医療センターの開院に合わせて2013年に新設されました。土日祝日と年末年始は運休し、運賃は全区間均一制です。

過去の主な路線

秋葉バスサービスおよびその前身は、時代の変化と共に様々な路線の運行を終了させてきました。「今井線」や「可睡の杜線」のように比較的近年まで運行されていた路線もあれば、「清流気田川線」「熊切線」「吉川線」「大河内線」「杉・川上線」のように、地域自治体による自主運行バスや森町営バスへと移行したものもあります。

運賃制度と決済方法

運賃体系は路線によって異なり、初乗り運賃や上限運賃が設定されています。2009年には運賃の値上げが実施されました。乗車時の支払いについては、2020年8月以降は釣銭式の運賃箱が導入されています。また、2023年10月からはスマートフォンでの定期券（スマホ定期券）が利用可能となり、さらに2025年 3月20日からは、全ての運行路線（自主運行バス含む）で、主要なQRコード決済サービス（PayPay、au PAY、d払い、楽天ペイ、メルペイ、AEON Pay、Alipay、WeChat Pay）を利用した運賃支払いが可能となり、利用者の利便性が大幅に向上しました。

かつて利用できた静鉄グループの磁気式乗車カード「パサールカード」は既に販売・利用共に終了しており、静鉄グループのICカード「LuLuCa」や遠鉄グループの「ナイスパス」など、他の交通系ICカードへの対応は現在行われていません。

車両

秋葉バスサービスは、いすゞ、日野、三菱ふそう、日産ディーゼルの国内主要4メーカーすべての車両を保有しています。車両の塗装は、静岡鉄道やしずてつジャストラインから譲渡されたツーステップバスに従来からのアイボリーに赤帯のカラーが用いられている一方、2002年以降に導入された低床車両には、しずてつジャストラインの低床車とは異なる配色（ブロックパターンの青を赤、赤を緑に変更など）が施されています。行先表示器は全車両がLED式で、表示書体が明朝体である点や、前面の行先表示に英語表記が併記される点が、しずてつジャストラインの車両との外見上の違いとなっています。

設立時に静岡鉄道から引き継いだ車両で運行を開始して以来、低床バスの導入や自主運行バス受託に伴うリフト付きバスの導入など、時代のニーズに合わせた車両更新が行われています。2025年1月現在、当社には合計27台のバス車両が在籍しており、いすゞエルガ、三菱ふそうエアロスター、日野ブルーリボンシティなど、様々な形式の車両が活躍しています。

静鉄グループの一員として、地域住民の重要な交通手段として、袋井市を中心としたエリアで運行を続けています。

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