袢纏

袢纏（はんてん）について

袢纏は、江戸時代から着用されている短い上着の一種で、特に庶民の間で一般的に用いられてきました。その特徴としては、羽織に似ているものの、両脇には襠（まち）がない点が挙げられます。また、胸ひもをつけず、襟を折り返さずに着用します。

歴史的背景

袢纏は18世紀から特に庶民の衣服として認識され、当時の職人や店員など、都市での肉体労働者たちの作業着として幅広く使用されていました。そのため、労働者階級を指して「半纏着（はんてんき）」との用語も生まれました。袢纏には、袖の形によって広袖袢纏、角袖袢纏、筒袖袢纏などの種類が存在します。デザインの面では、特定の定紋や屋号などを染めつけた印袢纏も存在し、印半纏は雇い人や出入りの職人に祝儀として贈られることがありました。特に職人階級では、正装の一環として通用し、「窮屈羽織」とも呼ばれることがあります。

防寒着としての用途

防寒着の一形態として「綿入れ袢纏」も有名です。こちらは、表地と裏地が二重になった袷（あわせ）で、布の間に綿が入っており、一般的には衿に黒繻子が使われています。主に屋内での防寒を目的としており、男女問わず着用されるアイテムです。

袢纏と法被の違い

袢纏と非常に似た衣服に法被がありますが、その起源や使用方法には明確な違いがあります。法被は武家社会で発展してきたものであり、明治時代以降も官員たちの生活に受け継がれました。一方、袢纏は主に庶民や町民、職人の日常的な服として着用されていました。

江戸時代の羽織禁止令が出されたことにより、庶民は法被に変わる新たな服装として袢纏を選択したと考えられています。これにより、法被の形が袢纏に影響を与えた結果、混同が生じることになります。

さらに、羽織と法被の違いは襟と袖の形状にあります。羽織は襟を折り返し、その袖は袂（たもと）袖となっているのに対し、法被には襟を返さないスタイルと筒袖が特徴的です。

まとめ

袢纏は、長い歴史を持つ日本の伝統的な衣服であり、職人や庶民の日常生活に根ざした存在です。職人たちの作業着として、また防寒着として親しまれています。袢纏だけでなく、法被やその他の類似した衣類が、日本の衣服文化をより豊かにしていることがわかります。

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