被爆アオギリ

被爆アオギリ：広島の平和を象徴する木

広島平和記念公園には、原爆投下を生き延びたアオギリの木が2本生育しています。爆心地から約1.3キロメートル、広島逓信局（現在の日本郵政グループ広島ビル付近）の中庭に4本あったアオギリは、1945年8月6日、原爆の熱線と爆風を直接受けました。そのうち1本は焼失しましたが、残りの3本は奇跡的に生き残ったのです。翌年には芽吹き、生命力の強さを示しました。

1973年、逓信局の建替えに伴い、これらのアオギリは平和記念公園に移植されました。しかし、その後も試練は続き、落書き被害や台風被害を受けながらも、広島市の努力によって大切に保護され、現在に至っています。1996年には1本が枯れてしまいましたが、2本は今もなお公園で力強く生き続けています。

被爆アオギリ二世：平和への願いを世界へ

被爆アオギリから採取された種子や苗木は、「被爆アオギリ二世」として、国内外に配布されています。これは、広島市の平和活動の一環として行われており、多くの場所で被爆アオギリ二世が平和のシンボルとして育まれています。

その活動は日本国内にとどまりません。例えば、原爆投下命令を出したハリー・S・トルーマン元大統領の孫の手によって、トルーマン図書館の庭にも被爆アオギリ二世が植えられています。これは、過去の歴史を教訓とし、平和への道を歩むことの大切さを示唆する象徴的な出来事です。長崎市の被爆クスノキ二世と同様に、被爆アオギリ二世は、世界平和への願いを込めた貴重な存在となっています。

被爆アオギリにまつわる文化

被爆アオギリは、広島の平和を象徴する存在として、様々な形で文化に息づいています。

音楽

2000年の広島市ミレニアム記念事業として行われた「広島の歌」公募では、当時小学3年生だった森光七彩さんが作詞作曲した『アオギリのうた』がグランプリを受賞しました。この曲は著作権フリーで、広島市内小中学校などで歌われ、アオギリへの想いを次世代に伝えています。他にも、レゲエシンガーMetisによる『アオギリの木の下で…』など、アオギリを題材にした楽曲が存在します。

映画

アオギリの語り部と呼ばれた沼田鈴子をモデルにした映画『アオギリにたくして』も制作されています。この映画は、被爆アオギリを通して、被爆体験や平和への願いを後世に伝える役割を担っています。

被爆アオギリと広島

被爆アオギリは、単なる植物ではなく、広島の歴史と平和への願いを体現したシンボルです。そのたくましい生命力は、私たちに希望と勇気を与え、過去を学び、未来へ向かう力となります。被爆アオギリを通して、広島の平和への取り組みや、平和の大切さを改めて考える機会を与えてくれます。また、被爆アオギリの近くには、被爆当時アオギリの近くにあった旧逓信病院を資料館として保存した「広島逓信病院旧外来棟被爆資料室」もあり、当時の状況を知る上で貴重な場所となっています。

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