袴田直希

京都大学を卒業後、日本テレビ放送網に入社した袴田直希氏は、制作現場から管理職、役員まで、多様なキャリアを歩みました。

キャリアの初期には、編成本部情報制作センターでチーフプロデューサーを務めるなど、情報番組の制作に携わりました。その後、報道局に活躍の場を移し、「NNNニュースプラス1」ではプロデューサー、そして2004年6月からはチーフプロデューサーとして番組制作を指揮しました。この時期、情報番組のみならず、「スポーツうるぐす」や「劇空間プロ野球」、さらにはアトランタオリンピックといったスポーツ関連の番組にも深く関わっています。

管理職に昇進してからは、2006年1月に報道局社会部長に就任。この役職就任に伴い、担当していた番組のチーフプロデューサー職は後任に引き継がれました。同年4月には、ドキュメンタリーやドラマの制作経験を活かし、報道特別ドラマスペシャル「アース・クエイク 平成18年春・東京大震災」の制作にも携わっています。2006年10月から約3年間は報道局次長として、当時最後発ながら注目を集めた「NEWS ZERO」など、重要な報道番組を担当しました。その後、営業部門にも籍を移し、2009年6月からは約1年間、営業局次長兼営業局CM部長として、営業戦略やCM関連の業務に携わりました。

2010年7月には、関連会社であるBS日テレに出向し、編成局長兼編成部長を務めました。約2年間のBS日テレ勤務を経て、2012年6月に日本テレビに帰任。報道局長代理に就任し、再び報道部門の中枢に戻りました。2014年6月には報道局長に昇進し、組織運営において重要な役割を担います。2015年6月からは執行役員報道局長、解説委員長、報道審査委員長を兼務するなど、役員としての重責を担うようになりました。2016年6月には取締役執行役員に昇格し、引き続き報道局長や解説委員会副委員長、報道審査委員長などを務めました。

2017年6月からは取締役執行役員として報道局を担当し、報道局長職を後任に引き継ぎました。そして2018年6月、日本テレビでの取締役執行役員を務めた後、同月21日付で長崎国際テレビ（NIB）の代表取締役社長に就任しました。これにより、日本テレビの取締役職からは退任しました。長崎国際テレビの社長として約4年間指揮を執り、2022年6月に同職を退任しました。

そのキャリアの中で、袴田氏に関連する特筆すべき出来事もいくつかあります。2008年11月には、自身がチーフプロデューサーを務めていた「真相報道 バンキシャ!」で発生した岐阜県庁裏金に関する誤報問題において、番組の検証番組に出演し、経緯の説明と謝罪を行いました。この問題を受けて、袴田氏自身も出勤停止3日の懲戒処分を受けています。また、日本テレビ復帰後の報道局長代理時代には、部下である「NEWS ZERO」のプロデューサーによるセクハラやパワハラ問題が発覚し、組織管理責任の側面からも注目を集めました。さらに、過去にオウム真理教事件に関する報道批判を契機に一度縮小傾向にあった日本テレビ報道局が、新たな経営体制のもとで再び強化される過程において、袴田氏が報道局長や執行役員としてその復権に貢献したことも指摘されています。

これまでに制作や企画に関わった主な番組は多岐にわたり、「ズームイン!!SUPER」「ズームイン!!サタデー」「アンテナ22」「スーパーテレビ情報最前線」「NNNニュースプラス1」「エンパラナイト」「スポーツうるぐす」「劇空間プロ野球」「真相報道 バンキシャ!」「NEWS ZERO」（制作）、「報道特別ドラマスペシャル「アース・クエイク」」（制作）などが挙げられます。

袴田直希氏は、長年にわたり日本テレビとその関連会社において、報道、制作、営業、編成といった幅広い分野で要職を歴任し、日本のメディア界において一定の足跡を残しました。

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