裁きの家

裁きの家

『裁きの家』は、著者三浦綾子による小説で、1970年に集英社から出版され、のちに文庫版も刊行された作品です。この小説は元々、テレビドラマ化されることを意図して書かれており、実際に1970年と1973年の二度にわたってドラマ化されました。

ストーリーの概要

作品の主人公は、小田島謙介というサラリーマンです。謙介は地方勤務を経て、本社への転勤が決まり、兄で大学教授の小田島博史の近くに社宅に住むことになりました。その際、母親のクメが謙介と同居を希望することから、家庭内の動きが始まります。物語は、謙介と博史の家族を中心に展開し、それぞれの家庭に生じるさまざまな問題を描きます。

特に二人の主婦、優子と滝江の対照的な生き方を軸に、家庭間でのエゴイズムの対立や、他者を裁くことの難しさといったテーマが探求されます。内容は、彼らの子どもである清彦、修一、弘二の視点を通して描かれ、人間関係の複雑さを浮き彫りにしています。

テレビドラマ化について

1970年版

d『裁きの家』の初めてのテレビドラマは1970年に放送されました。この作品は関西テレビ制作で、フジテレビ系列の『あなたの劇場』枠で全13話が放送されました。放送期間は1970年4月7日から6月30日まででした。このドラマはモノクロで制作され、家庭内の対立や感情の機微がリアルに描かれました。

主なキャスト:

• - 小田島優子：小山明子
• - 小田島謙介：小山田宗徳
• - 小田島博史：金子信雄
• - 小田島滝江：月丘夢路
• - 小田島清彦：近藤正臣
• - 小田島修一：高峰圭二
• - 小田島弘二：三ツ矢雄二
• - 小田島クメ：岡村文子

サブタイトル

このドラマは、各話に興味深いサブタイトルが付けられており、視聴者の興味を引きました。例えば、「浮気への招待」や「断絶家族」、「愛憎」というように、家庭内の葛藤をテーマとしたタイトルが多く見受けられました。

1973年版

その後、1973年に第二作目のテレビドラマ版が放送されました。このバージョンはフジテレビ系列で『ライオン奥様劇場』という枠で放送され、全40話のカラー作品でした。1973年9月17日から11月9日までの放送で、初めてのバージョンよりも多くのエピソードが展開されました。

主なキャスト:

• - 小田島優子：三ツ矢歌子
• - 小田島謙介：石濱朗
• - 小田島滝江：鳳八千代
• - 小田島博史：中原成男

このように、双方の版で異なるキャストや演出が施されており、視聴者に新たな視点からの物語体験を提供しました。

まとめ

『裁きの家』は、家族の絆や人間関係の複雑さを浮き彫りにしながら、エゴイズムや裁くことの難しさを問いかけています。三浦綾子の描く物語は、家庭内の出来事を通じて、様々な人間ドラマを鏡のように映し出しています。この作品は、今もなお多くの人々に親しまれ、さまざまな形で語り継がれています。

もう一度検索