裂け谷

裂け谷（Rivendell）

裂け谷（さけだに、Rivendell）は、J・R・R・トールキンの中つ国を舞台とした小説、『ホビットの冒険』、『指輪物語』に登場する、深い歴史と美しい自然に彩られた土地です。シンダール語ではイムラドリス（Imladris）と呼ばれ、「深く切り込まれた谷」を意味します。

歴史

裂け谷は、エルフとサウロンの戦いの後、生き残ったエルフたちの隠れ家として、半エルフのエルロンドによって築かれました。エルロンドは「最後の憩い」館を構え、裂け谷は安全な避難所として、エルフだけでなく、滅亡した北方王国アルノールの王家の血を引くドゥーネダイン、ひいてはアラゴルンも庇護しました。

『ホビットの冒険』では、ビルボ・バギンズが裂け谷を訪れ、休息と助言を得ています。また、『指輪物語』においては、一つの指輪の来歴が明らかとなり、その破壊任務のために、フロド・バギンズをはじめとする9人の指輪の仲間が集結するという、物語の重要な舞台となりました。

指輪戦争終結後、エルロンドは西方へと去りますが、彼の息子であるエルラダンとエルロヒア、ロスローリエンから来たケレボルンらが残り、しばらくの間は裂け谷に住み続けました。しかし、彼らもやがては灰色港から西方へと旅立ち、裂け谷は徐々に人がいなくなっていきました。

地理

裂け谷は、霧ふり山脈の西麓にある、険しい谷間に位置しています。鳴神川（ブルイネン）の二本の支流に挟まれた三角地帯にあり、その地理的特性が天然の要害となっています。さらに、エルロンドの力が込められた鳴神川は、侵入者を察知すると増水し、撃退する力を持っていました。指輪の幽鬼がフロド・バギンズを追跡した際にも、この激流によって阻まれ、退却を余儀なくされています。

裂け谷は、その美しい景観と、安全な避難所としての役割から、中つ国において重要な場所であり続けました。物語の中では、希望と休息の象徴として描かれ、多くの人々に安らぎを与えたのです。

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