装備総局

フランス装備総局（DGA）：フランス軍の装備を支える中枢機関

フランス装備総局（Direction générale de l'Armement, DGA）は、フランス国防省傘下の機関として、フランス軍全体の装備体系の設計、評価、調達を担う重要な役割を担っています。日本語では軍備総合局、国防省装備庁、国防装備庁、兵器総局などとも呼ばれることがあります。

歴史：軍需省庁委員会から装備総局へ

DGAの前身は、1961年に設立された軍需省庁委員会（DMA）です。航空技術、軍用品技術、造船技術など6つの軍事技術部門から構成され、1966年1月1日に単一の機関として統合されました。その後、1977年に改組され、現在のDGAとなりました。

DGAは、複雑化するフランス防衛産業を統御する行政官庁としての性格を強め、段階的に事業部門を分離、公営企業化していきました。1971年には火薬事業をSNPEグループへ分離。1990年には装備総局陸軍産業グループ（GIAT）がNexter社へ、海軍造船局がDCNS（現在のナバル・グループ）へと民営化されました。2000年には、海軍艦艇の運用調整保守整備を担う艦隊支援部（SSF）が設立されました。また、2007年までは約3,000人の職員を雇用し航空機整備業務を行っていましたが、これは空軍参謀本部と航空産業サービス（SIAé）に移管されました。2009年には正式名称が装備総代表部から装備総局に変更されています。2010年には、核兵器の脆弱性評価を担っていたグラマ研究センターが原子力庁に移管されました。

任務：フランス軍の防衛装備と将来への備え

DGAの任務は大きく3つに分けられます。

1. フランス軍向け防衛装備の開発・調達: 軍用資器材の実用化に向けた試験、評価、調達を実施します。
2. 将来への備え: 想定される将来の脅威に対応できる科学技術や能力の獲得に努めます。
3. 武器輸出の推進: フランスの防衛産業の輸出促進を支援します。

具体的には、将来型防衛システムの準備、軍備計画の実施、科学技術的評価、施設および防衛システムの評価試験、軍需分野における国際関係の維持など多岐に渡ります。DGA局長は、統合参謀総長、管理事務総長と共に国防大臣を補佐する重要な役割を担っています。

組織：技術局、国際開発局、その他

DGAは、技術開発の一貫性を確保するため、プログラム調整複局とアプローチ技術統合システムを構築しています。供給元業者との関係管理にはAGATEアーキテクチャ・フレームワークを使用しています。国防省所管の機関でありながら、軍隊とは別に独自の階級制度を有し、文民職員が多いのが特徴です。

DGAには14の技術センターがあり、研究開発に従事する約8,000人の職員がいます。NRBC統制、情報統制、海軍技術、空力弾道研究所など、それぞれの専門分野を担うセンターがフランス各地に展開されています。国際開発局（DI）は武器輸出の促進を、運用局（DO）は装備プログラムの実施を、戦略局（DS）は科学研究革新ミッションなどを担当しています。その他、計画局、支援部などが組織を支えています。

国際協力とプログラム

DGAは、欧州連合内および輸出先顧客との装備プログラムの調整、欧州防衛機関との協力による新規装備プログラムの開発などを推進しています。OCCAR（統合装備協力機関）を通じて、タイガー戦闘ヘリコプター、ローランド短地対空ミサイルなど、複数の多国間共同プログラムに参加しています。また、フランス全土に点在する評価試験センターで、航空機やミサイルなどの試験・評価活動を実施しています。

財政と他組織との関係

DGAはフランス国家最大の投資先の一つであり、毎年110億ユーロ規模の研究開発費が投じられています。国立宇宙研究センター（CENS）、原子力・代替エネルギー庁（CEA）、国立航空宇宙調査研究所（Onera）などの研究機関にも融資を行っています。統合参謀総長、装備構想研究総代、管理事務総長、情報通信総局（DGSIC）など、国防省内の様々な機関と連携して業務を進めています。2004年には中小企業協定（Pacte PME）に加盟し、中小企業の防衛産業への参入を促進しています。

教育

DGAは、航空宇宙先端研究所（IASE）、ブルターニュ先端技術国立学校（ENSTA Bretagne）、国立先端技術学校（ENSTA）、エコール・ポリテクニークなど、文民技官の育成を担う教育機関と連携しています。

DGAは、フランスの防衛力を支える重要な機関として、今後もその役割を果たしていくことでしょう。

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