裸のビーナス/よろしく哀愁

郷ひろみ「裸のビーナス／よろしく哀愁」：70年代の名曲を新たな解釈で

1991年4月25日、郷ひろみは自身の62作目のシングル「裸のビーナス／よろしく哀愁」をリリースしました。このシングルは、1973年の「裸のビーナス」と1974年の「よろしく哀愁」という、彼の代表的なヒット曲をセルフカバーした作品です。

オリジナルのヒット曲から約20年という歳月を経て、郷ひろみはこれらの楽曲に再び向き合いました。単なる再録ではなく、楽曲に新たな息吹を吹き込むべく、編曲を全面的に見直したセルフカバーとなっています。

「裸のビーナス」は「－NAKED VENUS HOUSE VERSION－」として収録され、全編に渡り洗練されたアレンジが施されています。オリジナルの持つエキゾチックな魅力はそのままに、より現代的なサウンドに昇華。成熟した歌声と相まって、新たな魅力を放つ一曲に仕上がっています。3分34秒という時間は、オリジナルよりもやや短めですが、その分、楽曲の核心を凝縮したような印象を与えます。作詞は岩谷時子氏が担当し、その詩の世界観をより深く味わうことができるでしょう。

カップリング曲の「よろしく哀愁」も同様に、「－HELLO SADNESS BOSSA VERSION－」として新たなアレンジが施されています。ボサノヴァのリズムを取り入れることで、オリジナルとは異なる、大人のムード漂う一曲へと生まれ変わりました。4分23秒という時間の中で、郷ひろみは楽曲に込めた感情をじっくりと表現しています。安井かずみ氏による作詞は、切ない恋心をより一層際立たせます。

両曲とも作曲は筒美京平氏、編曲は難波正司氏が担当。二人の手腕によって、オリジナル楽曲の持つ魅力を損なうことなく、新たな解釈を加えた、聴き応えのある作品に仕上がっています。

このシングルは、1970年代に一世を風靡した楽曲を、現代のサウンドで蘇らせただけでなく、郷ひろみ自身のアーティストとしての成長も感じられる作品と言えます。オリジナルを知っているファンはもちろん、初めて聴く世代にも、その魅力は十分に伝わるでしょう。郷ひろみというアーティストの幅広さを実感できる、まさに必聴の一枚です。

楽曲の構成、アレンジ、そして郷ひろみ自身の歌唱力、どれをとっても高い水準で完成されており、音楽史における一つの到達点として、このシングルは高く評価されるべきでしょう。当時を知る世代にとっては、青春時代を思い起こさせるノスタルジックな作品であり、若い世代にとっては、時代を超えた名曲の魅力を再発見できる機会となるでしょう。また、このシングルは、後のアーティストに大きな影響を与え、日本の音楽シーンに貢献した、重要な作品の一つと言えるのではないでしょうか。

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