岩谷時子

岩谷時子（いわたに ときこ）の生涯と創作活動

岩谷時子（1916年3月28日 - 2013年10月25日）は、日本の優れた作詞家、詩人、翻訳家として知られています。本名は岩谷トキ子で、特に越路吹雪のマネージャーとしての経歴でも注目を集めました。彼女の人生は多彩な波乱に富み、音楽界において重要な足跡を残しています。

幼少期と学び

岩谷は1916年に現在のソウル特別市に生まれました。父は商社に勤め、母は明治時代の独立した女性でした。5歳のときに兵庫県に引っ越し、その後西宮市立の小学校から西宮高等女学校を卒業し、神戸女学院大学に進学しました。英文学を専攻し、1939年に卒業。その後、宝塚歌劇団の出版部に勤務し、機関誌『歌劇』の編集長に就任しました。

越路吹雪との出会い

岩谷は宝塚歌劇団の新人、越路吹雪と出会います。当時15歳の彼女は、岩谷にサインの見本を依頼し、この出会いが二人の深い絆を生むことになります。越路が歌手になることを決意したとき、岩谷も退職し彼女をサポートするため上京しました。岩谷は越路の管理や生活を支えつつ、約30年間にわたって彼女のマネージャーを務めました。岩谷は、越路が自身の成功を収める中でも、自らの主業を語る際には、いつも「越路吹雪のマネージャー」と名乗っていたほどです。

個人的なエピソード

二人の関係はビジネスにとどまらず、深い友情が育まれていきました。越路が舞台後に小道具の手入れをしている際に、岩谷も共に不器用なところがあることに気づき、お互いに助け合う存在であると確認しました。また、越路の浪費癖に対して、岩谷は彼女を支えるために密かに現金を渡す細やかな配慮も見せていました。

越路がステージに立つ際には、不安を和らげるために岩谷が緊張をほぐすアドバイスを行うなど、その信頼関係は非常に強いものでした。さらに、越路が病に倒れた後も、岩谷は彼女を舞台に再立させたいと強く願い、健康管理を徹底的に行ったのです。

作詞家としての活動

岩谷時子は、1952年に越路吹雪が出演するシャンソンショー「巴里の唄」で初めて作詞をしました。この後、ザ・ピーナッツの『恋のバカンス』など数多くのヒット曲を手がけました。独自の解釈で訳詞を行うスタイルが特徴で、『愛の讃歌』の訳詞では元の背徳的な内容をあえて好意的な解釈に変えて世に出しました。これはその作品の印象を大きく変えるものであり、彼女の独創性を示すものとして高く評価されています。

晩年と栄誉

岩谷は晩年に入ると、本田美奈子との親交を深め、数多くの作品を提供しました。1993年には勲四等瑞宝章を受章、2009年には音楽文化振興財団を設立しました。また、作詞家を称える「岩谷時子賞」を創設し、2013年に97歳で他界するまで、その影響力を持ち続けました。彼女の死後、多くの追悼番組や特集が放送され、彼女の作品が今なお多くの人々に愛されていることを物語っています。

代表的な作品

• - 梓みちよ『お嫁さん』
• - 村岡恵理『ラストダンスは私に』
• - 岸洋子『夜明けのうた』

彼女の詞は、時代を超えて多くのアーティストに歌われ、現在もさまざまな形で親しまれています。音楽業界での偉大な足跡を残した岩谷時子の作品は、今後も色あせることのないものであり続けるでしょう。

もう一度検索