製品戦略部

製品戦略部とは、企業における製品の企画立案から製造、販売に至るまでの一連の流れを総合的に管理し、戦略を策定する部門です。製品開発に関する専門知識はもちろんのこと、製造物流、マーケティング、販売といった幅広い分野の知識が求められます。特に製薬業界では、近年製品戦略部の設立が活発化しており、医薬品の研究、開発、営業といった各部門を横断的に捉え、製品戦略を立案・実行する上で重要な役割を果たしています。

製品戦略部の主な業務の一つに、開発パイプラインの事業性評価があります。この評価に基づき、経営層に対し開発の継続可否（Go/No-Go）に関する意思決定を促す提言を行います。また、製品ライフサイクル全体を管理し、製品の寿命を最大限に延ばすための戦略も立案・実行します。これには、新製品の導入から既存製品の改良、そして製品の販売終了まで、各段階における具体的な施策が含まれます。

製品戦略部を設置している主な製薬企業としては、武田薬品工業、アステラス製薬、田辺三菱製薬、マルホなどが挙げられます。ただし、その組織形態や管轄範囲は企業によって異なり、武田薬品工業や田辺三菱製薬のように、製品戦略部が全社戦略の立案や開発候補品の導入・導出まで担当し、経営企画部やライセンス部門も管轄下に置く場合もあります。一方で、その他の企業においても製品のライフサイクルマネジメント（製品寿命延長）に関するあらゆるプロセスにおいて、主導的な役割を果たしています。

製品戦略部は、製品の成功を左右する非常に重要な部門であると言えるでしょう。製品の企画段階から市場投入、そして販売終了まで、一貫した戦略を策定し、実行することで、企業全体の成長に大きく貢献しています。製品戦略部が担う役割は多岐に渡りますが、その根底には常に市場や顧客ニーズを見据え、最適な製品を最適なタイミングで提供するという共通の目標があります。

参照：
『MBAを超える医薬品ハイブリッドマーケティング』佐藤睦美・著

関連事項：
製品ライフサイクル

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