裾野市立鈴木図書館

裾野市立鈴木図書館

裾野市立鈴木図書館は、静岡県裾野市に位置する公立図書館です。その歴史は、一人の実業家の篤志に始まります。

設立とその歩み

図書館の前身は、裾野市佐野出身の実業家である鈴木忠治郎氏（裾野市名誉市民）が1963年に寄付した育英資金に遡ります。この多額の資金を基に、地域の図書館設立への要望に応える形で、1967年に財団法人裾野町鈴木育英図書館が設立されました。翌1968年7月15日、佐野の地に開館。設立当初は約6,000冊の蔵書を有し、町民や関係者の協力によって拡充されていきました。鈴木忠治郎氏の娘である鈴木芳子氏が初代館長を務め、閉館までその任にあたりました。

この旧館時代には、単に本を貸し出すだけでなく、和室を備えるなど施設の特性を活かし、俳句、短歌、茶道、美術教室、古文書会といった市民サークル活動の拠点としても機能しました。図書館は地域文化の振興に貢献し、1990年には当時の館長が全国図書館大会で功労者表彰を受けています。

1990年12月、財団法人は解散を決定し、その建物と約56,000冊の蔵書が裾野市へ寄付されました。当時、県内の多くの市が市立図書館を設置する中で、裾野市には市立図書館がありませんでした。

市立図書館としての新たな出発

財団から寄贈された施設と蔵書を引き継ぎ、1991年4月1日に裾野市立鈴木図書館として開館しました。この際、設立者である鈴木忠治郎氏の功績を称え、図書館名に「鈴木」の名前が残されました。財団時代の鈴木芳子館長は引き続き館長を務め、後に名誉館長となっています。

新館移転と機能拡充

図書館はさらなる発展を目指し、1994年7月20日に裾野市平松の新たな施設へ移転しました。旧館から引き継いだ約5万冊に加え、新たに約1万冊を購入し、開館当初は約6万冊の蔵書でスタートしました。新館では、中高生向けのヤングアダルトコーナーや、親子で楽しめるお話の部屋など、多様な利用者のニーズに応えるためのスペースが新設されました。

この移転は利用状況に劇的な変化をもたらしました。移転後の1994年8月の利用者数は7,556人、貸出数は21,166冊となり、これは旧館時代の前年同月と比較して、利用者数で4.2倍、貸出数で4.8倍という大幅な増加を示しました。新館が東西公民館との複合施設として整備されたことも、利用者が気軽に立ち寄りやすくなった一因と考えられます。

現在の運営とサービス

裾野市立鈴木図書館は、市民の生涯学習を支援する拠点として、各種講座の開催などを通じて知識や教養を深める機会を提供しています。IT化も積極的に進めており、2004年度からは図書館だよりやホームページでの情報提供、インターネットを利用した蔵書検索システムなどを導入しています。

また、裾野市子ども読書活動推進計画と連携し、子どもの読書推進に力を入れています。児童書の選定・収集、調べ学習のための資料を集めた「ふくろうコーナー」の整備、赤ちゃんと絵本の出会いを応援する「ファーストブック」活動、おはなし会やテーマ別児童書展など、子どもたちの読書への関心を高めるための様々な取り組みを行っています。

施設案内と分室

本館は地下1階、地上2階（3階は公民館）で構成されています。地下には閉架書庫、1階は一般・児童開架室、おはなしのへや、ブックポストなどが配置されています。2階には参考図書、視聴覚室、展示室、郷土資料室などが設けられており、多様な学習・研究ニーズに対応しています。

本館の他、市内には複数の分室があります。裾野市民文化センター図書館、裾野市富岡コミュニティセンター図書館、裾野市深良コミュニティセンター図書館、裾野市須山コミュニティセンター図書館が各地域の読書環境を支えています。

利用案内

裾野市立鈴木図書館および市民文化センター図書館は、毎週月曜日（祝日の場合は翌日）、年末年始、館内整理日、特別整理期間が休館日です。開館時間は、裾野市立鈴木図書館本館は木曜日と金曜日が9時から19時まで、それ以外の日は9時から17時までです。貸出は、書籍が一人10冊までで2週間、視聴覚資料は一人2点までで1週間となっています。

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