裾除け

裾除け（すそよけ）について

裾除けは、和服の下に着用される伝統的な下着で、特に女性の衣服のスタイルにおいて重要な役割を果たしています。別名「蹴出し（けだし）」とも呼ばれ、主に腰巻の上に重ねて穿かれる足首までの丈の布を指します。裾除けは主に女性に着用されるものの、実際には男性も着用することがあります。男女間で裾除けの基本的な構造に違いはありません。

構造と素材

裾除けは、長方形の布が腰を一周半する形でデザインされており、紐が付いているのが一般的です。ただし、遊女が着用する場合は、特異的に紐がないものが使われることがあります。この構造は、下半身をしっかりと保護しながら、和服の裾が足に絡まるのを防ぐことを目的としています。通常、裾除けには羽二重や縮緬などの滑りやすい布地が選ばれ、静電気も起こりにくい特性を持っています。

歴史的背景

裾除けの起源を振り返ると、江戸の初期には、現在の長襦袢が広まっていませんでした。当時の下着として使われていたのは、腰までの丈の半襦袢と腰巻の組み合わせです。その後、足首までを覆う長襦袢が一般的に使用されるようになり、裾除けの役割はより明確になりました。この時期、裾除けはただの下着としてだけでなく、湯文字（腰巻）としても使われるようになり、裾が裾裏に縫い付けられてまとわりつかないようにするための「裾回し（八掛）」として進化しました。

また、湯文字の上におしゃれとして、美しい絹などで作られた腰巻状の裾除けがつけられることもあり、このような場合は「すそよけ」や「けだし」と呼ばれました。これは、しょりをした際に裾が見えるように配慮されたスタイルでした。今となっては、長襦袢が正式なものとされる中で、比較的シンプルなデザインの裾除けが一般的となっています。

関連項目

裾除けに関連する他の和服の下着としては、主に男性が着用する「ステテコ」があります。女性が着用する場合もありますが、裾除けとは異なるデザインや目的があるため、シェアされることは少ないようです。これらの伝統的な和服下着は、日本の衣服文化の中で重要な位置を占めており、その役割や意味合いが時代と共に変化してきました。総じて、裾除けはただの下着ではなく、日本の伝統文化に潜む深い意味を持ち、今もなお多くの人々に愛されています。

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