襦袢

襦袢（じゅばん）

襦袢は和服に用いられる下着の一種で、中心的な役割を果たすアイテムです。伝統的な日本の衣服の着用において欠かせない存在であり、様々な種類とスタイルが存在します。襦袢は、ポルトガル語の「ジバゥン（gibão）」が起源で、古いイタリア語の「gibbone」にも関連しています。16世紀の南蛮貿易によって日本に伝わり、徐々に広がりを見せました。漢字は後から当て字としてつけられたものに過ぎません。当初は丈の短い半襦袢が用いられていましたが、のちに絹製の長襦袢が登場し、多様なスタイルとなっていきました。

襦袢の種類

襦袢にはさまざまな種類があり、主要なものは以下の通りです。

肌襦袢

肌襦袢は、長襦袢や半襦袢の下に着用するための肌着であり、直接肌に触れるため、主に晒（さらし）やガーゼ、ちりめんなどの生地で仕立てられます。一般的に筒袖で衿が細いデザインが多いです。礼服用の場合、衿の色は男女ともに白ですが、他の場面では男性は黒、紺、灰色、茶色など、女性は赤や薄紅色が好まれています。また、近年は女性用のものにレースの袖口が施されるケースも増えています。

肌襦袢の男女の違い

• - 男性用：袖に身八つ口がありません。襟の開きは狭く仕立てられています。
• - 女性用：袖には身八つ口があり、襟の開きは広めにデザインされています。
• - 作務衣にも適した肌襦袢が存在します。

長襦袢

肌襦袢と着物の間に着用される長襦袢は、長着と形状が似ています。仕立てには関西型の衿がついたものと、関東型の通し衿があります。使われる素材には木綿、モスリン、ウール、絹などがあり、季節によっても素材が変わります。着丈は、対丈で仕立てられたものや、おはしょりができるように仕立てられたものが流通しています。一般的には、前もって半衿を縫い付け、長着に合わせた色や柄で調整します。

長襦袢は現在では一般的に用いられるスタイルですが、江戸時代前期には半襦袢が正式とされていました。その発祥は遊女に由来し、彼女たちの部屋着的な用途でも使用されていました。商人や上流階級の公家や武家にはあまり使われなかった歴史も持っています。

振袖長襦袢

特に振袖用の長襦袢は、袂に特徴的な長さと丸みが与えられています。他の襦袢とは異なり、振袖の美しさを引き立てる役割を持っています。

半襦袢

半襦袢は丈が短い襦袢で、胴部分には晒やフランネルが用いられ、洗濯が楽になります。一般的には肌襦袢と長襦袢を併用しますが、半襦袢単体でも裾除けやステテコと組み合わせて使用されることもあります。同じ生地で作られた裾除けとのセットは、「うそつき襦袢」と呼ばれることもあります。半襦袢は、江戸時代には腰巻と共に使われていた白地のもので開始され、さらなる進化を遂げました。

襦袢はその歴史ゆえに多様なデザインや素材があり、和服全体の着用感を高めるために欠かせない衣類として位置づけられています。特に、襦袢は見せる着方が奨励されており、和服の美しさを一層引き立てる重要な役割を担っています。

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