複合ユニットハイブリット窓
複合ユニットハイブリット窓について
複合ユニットハイブリット窓（Insulation Glass & Polycarbonate、略称IGP）は、ガラスとポリカーボネートを融合させた新しい窓の形式です。この窓は主に鉄道車両や工作機械の窓に用いられています。従来の窓と比べて、軽量性、耐衝撃性、断熱性に優れ、車両の安全性と快適性の向上に寄与しています。
特徴
軽量性
ポリカーボネートは、ガラスよりも密度が低く、約1.20g/cm³です。そのため、IGP窓は従来の窓に比べて軽量で、特に鉄道車両においては総重量を削減することで走行時のエネルギーコストを抑えることが可能です。
耐衝撃性
ポリカーボネートは非常に丈夫な材料であり、普通のガラスと比べると200倍以上の衝撃に耐えることができます。これにより、窓割れを防ぎ、安全性を大幅に向上させることが実現されました。
断熱性
IGPはガラスとポリカーボネートの複層構造を持っており、熱伝導率が低いため、優れた断熱性能を発揮します。これによって、冷暖房のコストを削減しつつ、車内の快適な環境を維持できます。
利用分野
IGPユニットは以下の分野で広く利用されています：
- - 鉄道車両：日本国内では主にJR北海道による在来線や特急車両の窓に採用されており、例えば789系やキハ261系などがその例です。さらに、韓国やマレーシアの鉄道にも導入されています。
- - 工作機械：日本のDMG森精機製の一部工作機械にも使用されており、耐衝撃性や透明性を求められる場面で活躍しています。
歴史
IGPの開発は、1999年にJR北海道で発生した「スーパーホワイトアロー」号の窓割れ事故を受けて始まりました。事故によって怪我人が出たことで、窓割れ対策が重要課題となり、その対策としてポリカーボネートを用いた工法での改善が試みられましたが、結露や施工コストの問題が残ったままでした。
これを踏まえ、JR北海道は東邦シートフレーム株式会社と連携し、ガラスとポリカーボネートの複合ユニットハイブリット窓を開発しました。この新しい窓は、既存の窓とスムーズに置き換え可能であり、施工時の追加コストも抑えられています。また、複層構造により軽量化が進み、断熱性能も向上しました。開発チームの主導者であるJR北海道の鬼頭知彰氏と東邦シートフレームの鎌鹿智教氏は、この業績により発明協会会長賞を受賞しています。
海外でもIGPの名前が広がりつつあり、韓国やマレーシアでは同様の構造を持つ窓がIGPとして一般的に採用されています。これにより、窓割れ対策としての使用が進んでいます。
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