ポリカーボネート

ポリカーボネートとは

ポリカーボネート（英: polycarbonate）とは、熱可塑性プラスチックの一種で、化合物名に基づく形式で「ポリカルボナート」と呼ばれることもあります。この素材は、さまざまな製品に使用され、その特性から特に注目されています。ポリカーボネートは、モノマー単位同士がカーボネート基（-O-(C=O)-O-）で結合されていることから、この名称が付けられました。また、この素材は「ポリカ」や「PC」と略されることもあります。さらに、アクリル樹脂と共に有機ガラスと呼ばれることもあり、ドイツのバイエル社が開発した素材です。

物性

ポリカーボネートの物性は以下のような特長を持っています:

• - 密度: 1.20 g/cm³
• - 可用温度範囲: -100℃から+180℃
• - 融点: 約250℃
• - 屈折率: 1.585 ± 0.001
• - 光透過率: 90% ± 1%
• - 熱伝導率: 0.19 W/mK

製法

ポリカーボネートは、主にビスフェノールAとホスゲン（塩化カルボニル）、あるいはジフェニルカーボネートを原料として合成されます。ホスゲンを用いる場合、界面重縮合によってポリマー化が行われます。一方で、ジフェニルカーボネートを利用する場合は、エステル交換による重合が行われます。日本では三菱ガス[[化学]]が1971年に量産を開始し、現在では茨城県神栖市の鹿島工場で年間12万トン、タイ工場で14万トン、上海工場で8万トンの生産を行っており、国内市場のトップシェアを占めています。

特徴

利点

ポリカーボネートは、透明性、耐衝撃性、耐熱性、難燃性、寸法安定性などの点で優れた物性を示します。特にその耐衝撃性は、一般的なガラスの250倍以上とされており、非常に強い素材といえます。このため、エンジニアリングプラスチックの中でも特に光学用途に利用されることが多く、航空機や自動車、電子機器、医療機器など幅広い分野で採用されています。さらに、機械的強度が高いため、力のかかる部品にも多く利用され、例えばサンスター文具はポリカーボネート製の筆入れ「アーム筆入れ」の強度を強調したテレビCMを流しました。

欠点

一方で、ポリカーボネートにはいくつかの欠点もあります。薬品に対する耐久性が不十分で、特にアルカリや溶剤にさらされると劣化する可能性があります。また、エステル結合を持つため、高温・高湿度の環境下では加水分解を起こすことがあります。さらに、引張強度を超える力が加わると、透明度が低下する「白化現象」が起こります。表面は硬度が低く、HB程度の硬さしか持たないため、硬いブラシでの清掃で傷がつきやすいです。

使用される製品例

ポリカーボネートは、以下のような製品に広く利用されています:

• - 電機・電子・光学機器: CD、DVD、カメラ本体、スマートフォンなど
• - 交通機関: 航空機のキャノピー、自動車のレンズ、鉄道車両の窓など
• - 医療機器や家庭用品: 哺乳瓶や食器、サングラス、文房具など
• - 防弾ガラスや防護具などの安全用品: ライオットシールド、軍用ゴーグルなど

このように、ポリカーボネートはその特性から多岐にわたる用途に用いられています。

もう一度検索