マレーシアの鉄道

マレーシアの鉄道は、多様な路線網を持ち、マレー半島の主要都市を結ぶ長距離鉄道から、都市部の通勤輸送を担う路線、さらには観光客向けの歴史的な列車まで、さまざまな役割を果たしています。以下に、その詳細を解説します。

概要

マレーシアの鉄道は、大きく分けて以下の5つに分類できます。

1. マレー鉄道 (KTM): マレー半島を縦断する主要な鉄道網。
2. クアンタン・ケルテ鉄道システム: マレー半島東海岸の貨物輸送を担う路線。
3. ペナン・ヒル鉄道: ペナン島にあるケーブルカー。
4. クアラ・ルンプール近郊の都市交通: 首都圏の通勤・通学を支える鉄道網。
5. サバ州立鉄道: ボルネオ島サバ州で運行される鉄道。

マレー鉄道 (KTM)

マレー鉄道は、1885年にイギリスによって敷設された狭軌（1000mm）の鉄道です。マレー半島を縦断し、タイ国有鉄道と接続して国際列車も運行しています。また、シンガポールにも乗り入れていますが、これはシンガポールがマレーシアから独立した歴史的背景によるものです。1997年に民営化されましたが、2002年に政府が経営権を再取得しました。

クアラ・ルンプール近郊では、長距離列車（KTMインターシティ）とは別に、通勤電車（KTMコミューター）が運行されています。

クアンタン・ケルテ鉄道システム

クアンタン・ケルテ鉄道システムは、マレー半島東海岸で運行されている貨物鉄道です。マレーシア鉄道公社 (KTMB) が運営しています。

ペナン・ヒル鉄道

ペナン・ヒル鉄道は、ペナン島で運行されているケーブルカーです。現在はペナン州のジョージ・タウン市電気供給部が運営しています。

クアラ・ルンプール近郊の都市交通

クアラ・ルンプール近郊では、マレー鉄道の通勤電車（KTMコミューター）の他に、以下の都市交通システムが運行されています。

空港連絡鉄道: KLIAエクスプレス（高速鉄道）とKLIAトランジット（各駅停車）が、クアラ・ルンプール国際空港と市中心部を結んでいます。
LRT (Light Rail Transit): ラピドKLが、クラナ・ジャヤ線とアンパン線を運行しています。
モノレール: ラピドKLが、KLモノレールを運行しています。
MRT (Mass Rapid Transit): Mass Rapid Transit Corporationが、スンガイ・ブロー駅とカジャン駅を結ぶKlang Valley Mass Rapid Transit (KVMRT) 1号線を運行しています。

その他、クアラルンプール国際空港のターミナル間を結ぶエアロトレインや、スランゴール州のプタリン・ジャヤにあるサンウェイ・モノレールも存在します。サンウェイ・モノレールは現在拡張工事中のため運休しています。

サバ州営鉄道

ボルネオ島の鉄道は、1896年にイギリスの北ボルネオ会社がタバコ輸送のために敷設したのが始まりです。現在はコタキナバルのタンジュン・アル駅からテノム駅までを結ぶ路線で旅客営業を行っています。近年は自動車の普及により経営が厳しい状況ですが、2000年からは近隣のリゾートホテル運営会社によって蒸気機関車による観光列車「北ボルネオ鉄道」の運行も行われています。この列車には、1973年製の川崎重工製客車が豪華に改造されて使用されています。

また、日本の「やすらぎの郷会津村」に展示されていた名鉄キハ8500系気動車も輸入され、急行列車として運行されています。

東海岸鉄道計画

2016年から2018年にかけて、中華人民共和国の支援による東海岸鉄道の建設計画が具体化しましたが、2018年の政変を経て2019年に計画が縮小されました。この計画は、セランゴール州から半島山岳部を横断し、東海岸を経由してタイ国境付近までを結ぶもので、標準軌による路線を計画していました。建設費用の削減により、一部区間のみが建設される見込みです。

隣接国との鉄道接続状況

マレー半島では、タイとシンガポールと鉄道で接続されています。
ボルネオ島では、ブルネイとインドネシアとは鉄道接続はありません。

海を隔てて近接するフィリピンとは鉄道接続はありません。

脚注

[出典]

外部リンク

Keretapi Tanah Melayu Berhad（マレーシア鉄道公社）
North Borneo Railway（北ボルネオ鉄道）
ERL SDN BHD（KLIA エクスプレス）
RapidKL Online（クアラ・ルンプールLRT）
* KL Monorail（クアラ・ルンプール・モノレール）

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