西ティモール

西ティモールは、インドネシア東部の東ヌサ・トゥンガラ州に属し、ティモール島の西半分を占める地域です。その面積は約1万5850平方キロメートルで、中心都市はクパンです。

地理的には、東ティモールの飛び地であるオエクシ＝アンベノが西ティモールに囲まれて存在するという特徴的な配置になっています。これは、かつての植民地支配の歴史を反映したもので、ティモール島が東西に分割された結果です。

歴史

ティモール島の植民地支配は16世紀に始まりました。1520年にポルトガルが領有を主張しましたが、1640年にはオランダがオランダ東インド会社の支配下で西ティモールに進出し、ポルトガル勢力を駆逐しました。その後、1799年にオランダ東インド会社が解散すると、西ティモールはオランダの直轄領となりました。

19世紀には、オランダとポルトガルの間でティモール島の境界線に関する条約が締結され、1859年の署名と1893年の修正を経て、1916年までに東西ティモールの境界線が確定しました。これにより、ティモール島は西がオランダ領、東がポルトガル領という形に分断されました。

第二次世界大戦中の1942年初頭、日本軍がティモール島を占領しました。しかし、日本の敗戦後、インドネシアは1945年8月17日に独立を宣言しました。オランダは再び西ティモールの領有を試みましたが、インドネシアとの間でゲリラ戦が発生し、最終的に1950年、西ティモールはインドネシア共和国の一部として、東ヌサ・トゥンガラ州に編入されました。

住民

2005年のデータによれば、西ティモールには約195万人が居住しています。住民の多くは、オーストロネシア系、パプア系、ポリネシア系の民族で構成されています。また、少数ながら華僑（中国系）も暮らしています。

宗教構成は、カトリックが56%と最も多く、次いでプロテスタントが35%、イスラム教が8%となっています。この宗教分布は、西ティモールの多様な文化背景を示しています。

経済

西ティモールの経済状況は、インドネシア全体と比較して遅れているのが現状です。失業率は10%に達しており、一人当たりの所得もインドネシア平均の約3分の1にとどまっています。経済活動の中心はクパンとその周辺地域に限られています。

産業

西ティモールで特筆すべき産業の一つは、白檀の生産です。特に白檀オイルは世界的に高い評価を得ており、西ティモールは世界有数の産地として知られています。この白檀オイルの生産は、地域経済を支える重要な産業となっています。

このように、西ティモールは、歴史、文化、経済の面で多様な側面を持った地域です。植民地支配の歴史や民族構成、経済格差など、複雑な要素が絡み合っていますが、同時に白檀オイルのような独自の産業も有しています。

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