西ヶ原みんなの公園

東京都北区西ケ原にある西ヶ原みんなの公園は、地域の人々に親しまれている区立公園です。広々とした芝生広場や、子供たちが楽しめる遊具などが整備されており、多様な世代が訪れる場所となっています。

この公園の敷地は、かつて東京外国語大学の西ケ原キャンパスとして利用されていました。その歴史は、第二次世界大戦中の1944年、前身である東京外事専門学校が当時の麹町区（現在の千代田区）からこの地に移転してきたことに始まります。1949年に新制大学として再出発した東京外国語大学は、2000年に東京都府中市へキャンパスを移転するまでの半世紀以上にわたり、多くの学生たちがこの地で学びを深めました。大学移転後、広大な跡地が生まれましたが、その活用にあたっては特に防災上の重要性が考慮されました。大規模な災害が発生した際に、地域の多くの人々を受け入れる避難場所としての役割を担うため、防災機能を備えた公園として整備される方針が決定されたのです。こうして、緑豊かな芝生広場を中心とした開放的な空間を持つ現在の「西ヶ原みんなの公園」が、2010年に開園しました。大学跡地の一部は、公園だけでなく、老人ホームや集合住宅などの施設にも利用されています。

公園内には、様々な目的で利用できる施設が配置されています。公園の中核をなすのは、広大で開放的な芝生の広場です。ここでは、ピクニックを楽しんだり、寝転がって空を眺めたり、軽い運動をしたりと、思い思いの時間を過ごせます。夏期には、子供たちの歓声で賑わうじゃぶじゃぶ池が開設され、水遊びを楽しむことができます。また、多様な児童遊具が設置されており、年齢に応じた安全な遊びを提供しています。自然環境に触れることができるビオトープ池では、水辺の生物や植物の観察を通して、身近な場所で自然学習の機会を得られます。さらに、緑豊かな防火林帯や、自然に近い形態を残した雑木林と土の広場もあり、散策や森林浴に適したエリアとなっています。

西ヶ原みんなの公園は、平時のレクリエーション機能に加え、防災公園としての重要な役割も果たしています。災害発生時には、広大な空間が地域の避難者を受け入れる拠点となります。このため、園内には災害時にも利用できる多様な防災設備が整備されています。具体的には、衛生的な環境を維持するための災害用トイレ、休憩や情報共有に利用できる防災バーゴラ、炊き出しに利用できるかまどベンチ、生活用水を確保するための防災井戸、そして初期消火などに利用できる耐震貯水槽などが備えられています。これらの設備は、平時には通常設備の一部として利用されたり、防災意識を高める役割も担っています。

公園に隣接する施設として、社会福祉法人晴山会が運営する老人ホーム「飛鳥晴山苑」や、住宅施設である「三井不動産 パークキューブ西ヶ原ステージ」（旧称アルティス西ヶ原パークヒルズ）などがあり、大学跡地が地域に開かれた形で再活用されている様子がうかがえます。

西ヶ原みんなの公園へのアクセスは、都電荒川線の西ヶ原四丁目停留場から徒歩約6分と便利です。公園は年中無休、常時開園しており、入園料は無料です。都心に位置しながらも、豊かな自然と広々とした空間を提供し、さらに災害時の重要な拠点としての機能も備える西ヶ原みんなの公園は、地域の財産として多くの人々に利用されています。

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