西之表港

西之表港（にしのおもてこう）

西之表港は、鹿児島県西之表市西部に位置する、種子島の北部を代表する港湾です。この港は、海上交通の要所として重要な役割を果たしており、特に、鹿児島港や屋久島の宮之浦港との間を結ぶ定期フェリーや高速船（ジェットフォイル）が就航しています。背後には西之表市の市街地が広がり、まさに島の「表玄関」としての機能を担っています。

概要

西之表港は、港湾法に基づく重要な港湾であり、中央地区、天神地区、塰泊地区の3つの地区から構成されています。このうち、塰泊地区にはヤマト運輸の営業所も所在しています。また、北側に隣接する旧港は漁港として利用されており、かつては「赤尾木港」と呼ばれていました。

赤尾木港は、古くは遣唐使船の時代から南海交通の要衝として栄えてきました。しかし、当時は暗礁が多く、航行の安全を確保するため、安永・天明年間（1772年 - 1789年）には港口に約54メートルの築島が作られました。それでも、諸子瀬と呼ばれる長い瀬が残っており、船舶の航行を妨げていました。

万延元年（1860年）には、松寿院が港内拡張と航行安全のため、築島を増築し、諸子瀬を防波堤とする大規模な事業に着手しました。薩摩藩主から年間400両の補助を得ながら、3年の歳月をかけて文久2年（1862年）7月にこの事業は完成しました。旧港の北側には、現在も「松寿院ガンギ」と呼ばれる石積みが残っており、当時の歴史を今に伝えています。この歴史的な価値が評価され、2022年9月には「赤尾木港の岸岐と築島」が土木学会選奨土木遺産に認定されました。

出来事

2010年には、沖の防波堤において2度にわたる崩壊事故が発生しました。この防波堤は、2002年から2015年にかけて鹿児島県が行っていた補強整備事業の最中であり、事故が発生した10月上旬には、総工費4億3852万円をかけてコンクリート補強工事が行われたばかりでした。鹿児島県は、この防波堤が台風にも耐えられる設計であったと説明していましたが、結果として約2億5000万円もの被害が発生しました。

周辺施設

港の周辺には、以下の施設があります。

西之表市立種子島中学校

関連情報

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参考文献

徳永和喜『歴史寸描「種子島の史跡」』和田書店、1983年。

外部リンク

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