西井開

西井開（にしい かい、1989年 - ）は、日本の社会学者であり、臨床心理士の資格も有しています。専門領域は、臨床社会学、臨床心理学、そして男性学です。特に、非モテ男性に関する研究に力を入れており、その分野における第一人者として知られています。

経歴

大阪府大阪市で生まれた西井氏は、会社員、NPO職員、無職といった多様な職歴を経て、立命館大学大学院に進学。人間科学研究科人間科学専攻博士後期課程を修了し、2023年に博士号（人間科学）を取得しました。博士論文のテーマは「不安定な男性性にかんする臨床社会学 : 非-マジョリティ男性の精神衛生上の課題をめぐって」であり、現代社会における男性性のあり方や、それに伴う精神的な課題について深く掘り下げています。

研究・活動

西井氏の研究活動は、非モテ男性というテーマを中心に展開されています。修士論文を基にした著書『「非モテ」からはじめる男性学』（集英社新書、2021年）は、社会学者の須藤康介氏から「結婚研究から独立して、「非モテ」そのものを分析した、先駆的な研究」と高く評価されました。この書籍では、恋愛や結婚といった従来の社会的な規範から外れた、非モテ男性の視点から、現代社会における男性性のあり方を問い直しています。

また、西井氏は研究活動に留まらず、社会的な活動にも積極的に取り組んでいます。モテないことに悩む男性たちが集まり、互いの経験や悩みを語り合うグループ「ぼくらの非モテ研究会」を発起し、当事者間の相互支援の場を提供しています。さらに、男性が安心して語り合える場を作ることを目的とした任意団体「Re-Design For Men」の代表も務めており、男性性の再構築や、新たな男性のあり方を模索する活動を展開しています。

著書

単著
『「非モテ」からはじめる男性学』集英社新書、2021年
共編著
ぼくらの非モテ研究会編、『モテないけど生きてます : 苦悩する男たちの当事者研究』青弓社、2020年
共著
澁谷知美・清田隆之編、『どうして男はそうなんだろうか会議——いろいろ語り合って見えてきた「これからの男」のこと』筑摩書房、2022年
* 高橋幸・永田夏来編、『恋愛社会学 : 多様化する親密な関係に接近する』ナカニシヤ出版、2024年

西井開氏は、研究者としてだけでなく、実践家としても、現代社会における男性性の課題に取り組み、多様な男性が生きやすい社会の実現を目指して活動を続けています。

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