西京丸

西京丸の歴史と役割

「西京丸」は、日本郵船が運航する貨客船であり、特にその運用の歴史は日本の海軍や貿易の発展に大いに寄与しました。この船は1888年に竣工し、国内外で重要な役割を果たしました。

竣工の経緯

「西京丸」は、1885年に日本郵船が設立された後、最初の新造船として建造されました。ロンドン＆グラスゴー造船所での建造を経て、日本に到着し、すぐに上海航路に就航しました。この船は特徴的なデザインを持ち、やや傾いたマストと煙突を備え、客室やサロンなどが整った華やかな甲板を持っていました。

日清戦争での役割

1894年、日清戦争が勃発する際、「西京丸」は海軍に徴用され、巡洋艦代用として改造されました。荷物の輸送だけでなく、戦闘能力も付与され、兵装が施されたことで戦局における重要な手段となりました。黄海海戦では連合艦隊に属し、敵艦隊との接触において幾多の危機を乗り越えましたが、被弾し損傷を受けながらも、12発の砲弾を発射し、名誉を保ちました。

後の活動

黄海海戦後も「西京丸」は修理を経て徴用船として活動を続け、1895年には台湾平定にも貢献しました。この時、北白川宮能久親王の遺体を日本に運ぶという重要な任務も果たしました。それ以降、「西京丸」は上海航路に復帰し、多くの乗客から支持を受ける人気船となりました。

軍事と商業の狭間で

1900年の義和団事件の際には再び徴用され、日露戦争では病院船として利用されるなど、商業活動と軍事任務を兼務していました。こうした背景により、「西京丸」は様々な時期に他の船と入れ替わり、時には徴用され続け、海軍の一部としても機能しました。

最後の航海

第一次世界大戦前後には青島航路へと転じ、1921年には栗林商船に売却され上海・大連航路に就航しましたが、老朽化が進み、1927年には解体されました。総じて「西京丸」は、日本の海の歴史において重要な存在でした。

年表

• - 1888年6月：ロンドン＆グラスゴー造船所で竣工。
• - 1888年8月：日本に到着し、上海航路に就航。
• - 1894年8月：日清戦争開戦により海軍に徴用。
• - 1894年9月17日：黄海海戦に参加。損傷を被る。
• - 1895年：台湾平定に参加。
• - 1895年10月29日：北白川宮能久親王の霊柩を輸送。
• - 1903年4月23日：上海航路から撤収。
• - 1904年：海軍に徴用。病院船として活動。
• - 1913年ごろ：青島航路に就航中。
• - 1921年5月7日：栗林商船に売却。上海・大連航路に就航。
• - 1927年夏：大阪の尻無川で解体。

艦長とその役割

「西京丸」の艦長は、鹿野勇之進少佐、東郷正路少佐などが就任し、それぞれの時代において艦を指揮した。

このように「西京丸」は、単なる船舶に留まらず、日本の海事史の一部として、時代の変遷を見守り、多くの人々に記憶される存在となったのです。

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