西別府廃寺跡

西別府廃寺跡の概要

西別府廃寺跡（にしべっぷはいじあと）は、埼玉県熊谷市の西別府に存在する古代寺院の遺構です。この地は古代幡羅郡に属しており、幡羅官衙遺跡群の一部を成していますが、現在のところこの寺院は史跡として指定されていません。しかし、寺跡から出土された古瓦は、熊谷市の指定有形文化財に認定されています。

地理と歴史

この廃寺は埼玉県北部、櫛挽台地の北端に位置しています。ここでは古くから古瓦が採集され、その重要性が注目されてきました。1990年からは、民間の開発に伴って数回の発掘調査が行われ、これにより寺域の広さや構造についての知見が得られました。寺域は東西約100メートル、南北約200メートルと推定され、特徴的な幅5メートルの区画溝も確認されています。

発掘結果からでは、主要な伽藍は現在のところ明確ではありませんが、基壇建物跡のほか、瓦溜まりや竪穴建物の跡も発見されています。この遺跡からは、多くの焼き物の瓦が収集され、中には他の廃寺、例えば岡廃寺（深谷市）や大久保領家廃寺（さいたま市）との関連性を示す品も存在します。推定される創建時期は奈良時代の8世紀初頭で、平安時代の9世紀後半まで存続していたと考えられています。

文化財としての評価

西別府廃寺跡は、幡羅官衙遺跡群の一環として非常に貴重な遺跡と見なされています。この遺跡群には、郡家、祭祀場、寺院が一堂に揃っており、歴史の上で重要な位置を占めています。特に、2018年に幡羅官衙遺跡と西別府祭祀遺跡は「幡羅官衙遺跡群」として国の史跡に指定されましたが、西別府廃寺にはその指定がなされていない点が興味深いところでもあります。

遺跡の発掘歴

西別府廃寺の発掘歴は多岐にわたります。1955年には、採集された古瓦が熊谷市の指定文化財に認定されました。その後、1990年から始まる一連の発掘調査では、次第に遺構が明らかになりました。具体的には、1990年の第1次調査から始まり、1992年には第2次、2009年から2010年には第3次と第4次調査が行われています。さらに、2016年度には第5次の調査も実施されました。これらの調査結果はそれぞれ報告書としてまとめられています。

関連施設

西別府廃寺跡の出土品は、熊谷市立江南文化財センターにて展示されています。このセンターは、地域の貴重な文化財を多くの人々に理解してもらうための重要な場所となっています。

まとめ

西別府廃寺跡は、埼玉県の歴史的な背景を考える上で重要な位置を占める遺跡です。発掘によって得られた数々の遺物は、古代の生活や文化を知る手掛かりを提供しています。この遺跡の研究は、地域の歴史を理解する上で欠かせないものであり、今後の発掘調査や研究が期待されています。

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