幡羅官衙遺跡群

幡羅官衙遺跡群について

幡羅官衙遺跡群（はらかんがいせきぐん）は、埼玉県深谷市と熊谷市にまたがる、古代武蔵国の郡衙（役所）の中心的な遺跡群です。この遺跡群は、幡羅遺跡、さらに熊谷市に位置する西別府遺跡、西別府祭祀遺跡、西別府廃寺跡から成り立っています。特に幡羅遺跡と西別府祭祀遺跡は国の史跡として登録されており、地域の歴史的重要性を示しています。

遺跡の概要

幡羅官衙遺跡群は、主に飛鳥時代の7世紀後半から平安時代の11世紀前半まで存続した古代の官衙跡です。場所は利根川の南岸にある沖積低地に面した台地にあり、2001年にその存在が確認されました。遺跡群内のほとんどは現在農地となっており、建物跡や区画溝、道路など、古代の生活に関する多様な遺構が良好な状態で埋蔵されています。

特に注目すべきは、役所の実務が行われた官衙域と、水辺に位置する祭祀跡、西別府廃寺跡の存在です。これらの遺跡が有機的に機能していたことが調査により確認されており、古代の郡衙の全体像を把握する手助けとなっています。従って、遺跡群はその成立から廃絶までの約300年間の変遷を理解するための貴重な資料とされています。

遺跡の構成

幡羅遺跡

幡羅遺跡は、遺跡群の中心にあたります。深谷市の広さは東西約500メートル、南北約400メートルと広大です。35回にわたる発掘調査によって、租税を納めるための高床建築や、宿泊施設と考えられる四面庇建物、さらに実務官衙の建物群が見つかりました。特に、幅8メートルの直線道路が遺跡の中を貫いており、その北側には正倉、南側には実務施設が配置されています。政庁の址はまだ確認されていませんが、隣接する西別府遺跡にある可能性があります。

西別府遺跡

西別府遺跡は、幡羅官衙遺跡の熊谷市側の部分にあたります。ここでは掘立柱建物や区画溝が発見され、日常用の土器や当時の高級品とされる陶器、さらには寺院に使われた瓦も出土しました。ここでも郡衙の政庁が存在していた可能性が高いと見られています。

西別府祭祀遺跡

祭祀遺跡は、7世紀から11世紀にわたり水辺での儀礼が行われていた場所です。特に石製模造品を用いた祭祀が行われていたことが確認され、時代によって使用された器や遺物が変化している様子がわかります。出土した祭祀遺物は埼玉県選定の重要遺跡にも指定されています。

西別府廃寺跡

この治所近くには、古代寺院の遺跡も存在し、そこからは寺院に使われた瓦のほか、基壇を持つ建物跡も発見されました。約8世紀から9世紀にかけての利用が続いたことがわかっていますが、国の史跡には含まれませんが、地域の文化的遺産として重要視されています。

キャラクターの紹介

また、幡羅官衙遺跡群にはPRキャラクター「ハラ君」がいます。このキャラクターは、古代建物の出土品に基づいて作られ、地域の歴史や遺跡の魅力を広めています。

幡羅官衙遺跡群は過去の生活の跡を今に伝える貴重な遺跡であり、私たちの歴史を理解するための重要な資源となっています。

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