西城恵一

西城 恵一

西城 恵一（さいじょう けいいち、1949年9月29日 - ）は、日本の天文学者であり、理学博士です。特に変光星の研究分野で知られており、現在は日本変光星観測者連盟（VSOLJ）の代表を務めています。

経歴

広島県で生まれた西城氏は、幼い頃から星空に強い関心を抱いていました。中学生時代にはプラネタリウムへ足繁く通うようになり、天文学への興味を深めていきます。広島大学附属高等学校を卒業後、東京大学理学部天文学科に進学。大学在学中には、当時変光星研究の第一人者であった北村正利教授のゼミに所属し、光電測光を用いた変光星の観測研究を開始しました。1973年に東京大学を卒業し、その後も大学院理学系研究科天文学専攻に進み、1979年に博士課程を修了しています。

研究活動

大学院修了後、西城氏は国立科学博物館に就職しました。理工学研究部研究員としてキャリアをスタートさせ、後に天文学を担当する主任研究官を務めます。国立科学博物館では、アマチュア天文家によって継続的に蓄積されてきた変光星の眼視観測データに着目し、その大量のデータを体系的に収集・解析する研究に注力しました。これは、専門機関の研究者とアマチュア観測者が連携する上で極めて重要な取り組みであり、日本の変光星観測の発展に大きく貢献するものです。

また、西城氏は特定のタイプの変光星に関する詳細な研究でも知られています。特に、伴星が早期スペクトル型の主系列星で、主星が赤色超巨星という特異な組み合わせを持つ食変光星、例えばぎょしゃ座ζ星やケフェウス座VV星といった天体や、赤色巨星が規則的あるいは不規則に明るさを変化させる脈動変光星の研究を行いました。これらの研究を通じて、恒星の進化の最終段階や、連星系の相互作用など、宇宙の様々な現象解明に貢献しています。

人物と交流

西城氏は、アカデミックな研究者としての立場を持ちながらも、アマチュア天文家との交流を非常に大切にしています。日本変光星観測者連盟の代表として、アマチュア観測者が取得するデータの価値を高く評価し、その観測活動を支援する中心的な役割を担っています。その開かれた姿勢は、天文学の研究が専門家だけでなく、広く一般の人々の情熱によっても支えられていることを示すものです。

著書

西城恵一氏の主な著書には以下のものがあります。

単著
『小学なぜなぜふしぎサイエンス』
共著
『宇宙の質問箱・太陽系編』（誠文堂新光社、1992年）
『宇宙の質問箱・星・銀河・宇宙編』（誠文堂新光社、1992年）
『工作による天体観測』（共立出版）
訳書
『ホップアップ宇宙』（ヒーザー・クーパー著、丸善、1986年）

これらの著作を通じて、一般向けの科学解説や天体観測の実践方法についても貢献しています。

もう一度検索