西大垣駅(にしおおがきえき)は、
岐阜県大垣市木戸町に所在する
養老鉄道養老線の
鉄道駅です。当駅には
養老鉄道株式会社の本社機能に加え、車両基地である車庫も併設されており、養老線の列車運行における中心的な役割を果たしています。
歴史
西
大垣駅は、
1913年(
大正2年)
7月31日に、当時の
養老鉄道(旧)が
養老駅と池野駅の間で路線を開業した際に、その駅として誕生しました。その後、運営会社の合併や事業譲渡が繰り返され、所有者が幾度となく変更される歴史をたどります。
開業から約9年後の
1922年(
大正11年)
6月13日には、合併により揖斐川電気の駅となりました。さらに、
1928年(
昭和3年)
4月6日には鉄道事業が譲渡され養老電気鉄道の所属となります。翌
1929年(
昭和4年)
10月1日には、
伊勢電気鉄道との合併により、同社の養老線の一部となりました。
その後も変遷は続き、
1936年(
昭和11年)
5月20日には会社が分離・譲渡され養老電鉄の駅に。
1940年(
昭和15年)
8月1日には参宮急行電鉄との合併を経て、
1941年(
昭和16年)
3月15日には
大阪電気軌道との合併により、関西急行鉄道の駅となります。そして第二次世界大戦中の
1944年(
昭和19年)
6月1日には、南海鉄道(現在の
南海電気鉄道)との合併により、巨大私鉄である
近畿日本鉄道の駅として組み込まれました。
近畿日本鉄道の一員として長らく運営されていましたが、
2007年(平成19年)
10月1日、養老線の経営が近鉄から分離されたことに伴い、新たに設立された
養老鉄道(新)の駅として再出発を切りました。
駅舎などの歴史的な建造物も特徴であり、2021年(
令和3年)
1月15日には、その歴史的価値が認められ、
大垣市の「景観遺産」第87号として「近代遺産」の区分で指定を受けています。
駅構造
駅は地上に設けられており、列車同士の行き違いが可能な相対式ホーム2面2線の構造を持っています。それぞれのホームへ移動するには、線路を横断する構内踏切を利用する必要があります。
西大垣駅は現在も駅員が配置されている有人駅で、きっぷうりば(出札窓口)が設けられています。
改札方式には特徴があり、
改札口は通常時は閉鎖されており、列車の到着や発車に合わせて駅員が扉を開けて
改札を行う、いわゆる「列車別
改札」方式が採用されています。
かつては、駅に隣接していたイビデン大垣事業場(旧称:大垣工場)への貨物引き込み線が存在し、
昭和40年代頃まで貨物輸送に利用されていました。この引き込み線や貨物の積み込み設備は長い間残されていましたが、2000年頃に行われたイビデン大垣事業場の再開発に伴い、すべて撤去されています。
のりば
ホームの配置は、構内踏切を渡った先にあるホームが1番線、駅舎に面しているホームが2番線となっています。1番線は上下列車の副本線として、2番線は上下列車の本線として機能しています。両ホームとも、上り・下りのどちらの方向の列車も発着が可能です。
通常、行き違いがない場合は、上り下りの両方向の列車が主に2番ホームを使用します。ただし、現在のダイヤでは多くの列車が行き違いを行うため、その場合は1番ホームが行き違い待ちをする列車や、車庫へ出入りするための回送列車に使用されます。
運行上の特徴
養老鉄道の運行において、西
大垣駅は重要な拠点となっています。例えば、早朝の桑名方面へ向かう最初の列車は、当駅を始発として運転されます。また、
大垣駅との間には区間列車が設定されており、これは車両を車庫へ送り込む際や、車庫から送り出す際の回送列車を兼ねたものです。
運行上、当駅で乗務員が交代することも多く、ダイヤ上の要衝としての役割を担っています。
駅周辺
駅の正面には
岐阜県道237号西大垣停車場線が通じており、周辺地域へのアクセス路となっています。駅周辺には複数の工場施設が集積しています。主な施設としては、イビデン、日本合成化学工業大垣工場、サンメッセなどがあります。
公共施設や教育機関も点在しており、大垣久瀬川郵便局、
大垣市立西小学校、
大垣市立興文小学校、
大垣市立興文中学校、
大垣市西公園(通称:西公園)、そして
大垣市役所などが徒歩圏内または比較的近い場所に位置しています。
バス路線
名阪近鉄バスのバス停留所としては、「工業高口」または「久瀬川」が最寄りとなります。これらのバス停は駅の南側約600メートル、
岐阜県道31号岐阜垂井線沿いに位置しており、駅から徒歩で約7分程度です。これらのバス停からは、
大垣駅前を起点とする稲葉線、荒崎線、綾里養北線などの各方面へのバスが運行されています。
隣の駅
養老鉄道養老線において、西
大垣駅の隣接駅は以下の通りです。
美濃青柳駅 -
西大垣駅 -
大垣駅
なお、
1972年頃までは、当駅と
大垣駅の間に「新室駅」という駅が存在していました。
関連項目
日本の鉄道駅一覧