西島安則

西島安則(1926年11月17日-2010年9月3日)は、日本の高分子化学分野における卓越した工学者でした。京都大学を拠点に、教育者、研究者、そして行政官として、日本の科学技術発展に多大な貢献を果たした人物です。

京都府生まれの西島氏は、京都大学工学部を卒業後、同大学大学院で研鑽を積みました。その後、ブルックリン工科大学高分子研究所に留学するなど、国際的な視野も養いました。1962年には京都大学より工学博士号を取得し、母校で教鞭を執り、助教授、教授を経て、1979年には京都大学工学部長に就任しました。

1985年から1991年にかけては、京都大学総長を務めました。総長在任中は、大学の国際化促進に尽力し、国際交流センターの設置など、グローバルな学術交流の基盤強化に大きく貢献しました。また、長年問題となっていた吉田寮問題についても、西寮の解体と吉田寮の改修という妥協点を見出すことで、紛争の解決に導きました。これは、西島氏の優れた交渉力とリーダーシップを示す事例と言えます。

京都大学総長退任後も、西島氏の活躍は止まりませんでした。1998年から2004年にかけては、京都市立芸術大学学長を務め、芸術分野にも貢献しました。さらに、日本ユネスコ国内委員会委員長、日本化学会会長、日本学術会議副会長など、数々の要職を歴任し、日本の学術界を牽引しました。

その功績は高く評価され、2004年には瑞宝大綬章を受章。また、ポリテクニック大学(旧ブルックリン工科大学)、サセックス大学、トロント大学より名誉理学博士号を授与されるなど、国内外から高い評価を得ています。さらに、英国化学工業会プレジデント・メダルをはじめとする数々の賞を受賞しました。

西島氏は、単なる研究者や教育者にとどまらず、日本の科学技術政策にも深く関与し、その発展に貢献しました。数々の大学や研究機関における要職に加え、国際高等研究所顧問や財団法人京都府国際センター理事長なども務め、幅広い分野でリーダーシップを発揮しました。

西島安則氏は、高分子化学の研究者としてだけでなく、教育者、行政官、そして国際的な学術交流の促進者として、日本の科学技術と高等教育の発展に多大なる貢献を果たしました。その功績は、後世に長く語り継がれるべきでしょう。2010年9月3日、心臓疾患のため逝去されました。叙従三位。西島氏の逝去は、日本の学術界にとって大きな損失でした。

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