西川幾

西川幾について

西川幾（にしかわ いく、1845年 - 1905年）は、尾張出身の著名な名古屋西川流の舞踊家で、本名は織田いくです。彼女は初代西川鯉三郎を名古屋に招いた一番弟子として知られ、名古屋西川流の礎を築いた人物です。1863年には名取の第一号として《西川幾》の名を許されました。彼女は後に養女の西川嘉義（織田かぎ）に舞踊を教え、重要な役割を果たしました。

出自と家族

西川幾は、尾張藩士の長女として生まれました。彼女の父親は織田弥三兵衛信久で、母は家計安全に貢献した人物で、歴史的な背景を持つ家系で育ちました。また、彼女の夫も元尾張藩士であり、俳人としての顔も持っていました。

舞踊の道への歩み

織田いくは踊りに興味を持ち、藤間勘十郎に師事し、1841年には名古屋に西川鯉三郎を招きました。彼女は1860年に鯉三郎から「御免踊指南」の公許を受け、その後、名古屋西川流を支える柱となりました。名取第一号となった彼女は、多くの弟子を育成し、西川流の発展を促進しました。

養女の教育

1872年、西川幾は尾張藩関係の士族の娘、かぎを養女として迎え入れました。彼女は鯉三郎と共に、稽古場に通わせ、踊りの技を学ばせました。1887年には名古屋西川流に正式に入門させ、1892年には独立し西川嘉義としての名取りになりました。

幾と嘉義の活動

西川嘉義は数々の舞踏公演で名古屋西川流の名を広め、1896年には「西川嘉義丸門人舞踊温習会」を主宰するなど、舞台芸術に貢献しました。しかし、1899年には西川鯉三郎が死去し、幾も体調を崩し稽古を休む事態となりました。弟子の間で起こった対立が影響したとされ、宗家を巡る争いに苦しむことになりました。

死去とその後

1905年、西川幾は亡くなりました。彼女の死後、追善供養会が行われ、嘉義が舞踏を披露しました。しかし、彼女の娘である西川嘉義も1921年に自ら命を絶つという悲劇があり、名古屋西川流は大きなトラブルに見舞われました。この事件によって、名古屋西川流の家元は長期間空位となり、名流の名跡も長らく引き継がれなかったのです。

記念碑と文化的影響

名古屋市の八事興正寺には、幾と嘉義の記念碑が作られ、彼女たちの功績が後世に語り継がれています。西川幾は名古屋の文化と舞踊界に多大な影響を与えた重要な人物であり、その功績は今も人々の記憶に残っています。

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