西川渉

西川渉（にしかわ わたる）

日本のドクターヘリ事業の普及・発展に大きく貢献した航空ジャーナリスト、西川渉（にしかわ わたる）について解説します。

生涯

1936年6月8日、西川渉は東京都で生まれました。幼少期を宮崎県で過ごし、中学2年生の時に再び東京へ移住します。1960年には、東京大学理学部を総代として卒業しました。

社会人として西川は西武百貨店に入社。その後、グループ企業の朝日ヘリコプター（現在の朝日航洋）へ転籍し、航空業界へと足を踏み入れます。朝日航洋では、1980年に代表取締役専務、1989年には地域航空総合研究所代表取締役所長に就任するなど、要職を歴任しました。

朝日航洋時代には、ベル 47、KH-4、シコルスキー S-58C、S-62A、アルウェットII、AS350B、AS355、Bo105、BK117、ベル 206B、206L、204B、212、412、214B、214ST、MD900、ピューマ、スーパーピューマ、ミル Mi-8、カモフ Ka-26など、多岐にわたる機種に携わりました。これらの経験を通じて、ヘリコプターに関する深い知識と見識を培いました。

日本航空新聞社では編集顧問として、国際ヘリコプター協会（HAI）米国ツアーへ30回にわたり参加。日本のヘリコプター業界への情報提供に尽力しました。また、1989年にはAHS（米国ヘリコプタ学会）の日本支部であるJHS（日本ヘリコプタ協会）の創立に主要メンバーとして関わり、1998年度から1999年度にかけては第5代会長を務めました。その後も、常任理事や顧問として協会の運営に貢献しました。

1998年度には総務省消防庁のヘリコプターによる救急システムの推進に関する検討委員会委員、1999年度には内閣官房のドクターヘリ調査検討委員会委員に就任するなど、ドクターヘリの導入と普及に尽力しました。救急ヘリ病院ネットワーク（HEM-Net）理事、日本航空医療学会理事、日本航空協会評議員、日本救急医療財団広域搬送委員会委員、全日本航空事業連合会ドクターヘリ分科会顧問、日本ヘリコプター事業促進協議会理事など、数多くの要職を歴任し、日本の航空医療の発展に貢献しました。

1996年11月3日には、ウェブサイト「航空の現代」を開設。2019年1月31日までの22年間にわたり、2,300を超える記事を掲載し、航空業界に関する情報発信を続けました。著書として「ドクター・ヘリ―“飛ぶ救命救急室”」などを執筆した他、「航空情報」などの雑誌にも寄稿しました。

2020年2月16日、西川渉はがんのため逝去しました。享年83歳。

著書

『なぜヘリコプターを使わないのか―危機管理システムの核心』中央書院 、1996年
『マルチメディア航空機図鑑』（宮田豊昭との共著）アスキー 、1996年
『ドクター・ヘリ―“飛ぶ救命救急室”』時事通信出版局、2009年

受賞

国際ヘリコプター協会1997年地域貢献賞

外部リンク

航空の現代　新生篇
航空の現代

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