西徳寺

西徳寺

光照山西徳寺（さいとくじ）は、東京都台東区に静かに佇む真宗佛光寺派の寺院です。台東区の街並みに溶け込みつつ、その歴史と文化的側面から多くの人々に知られています。

歴史

西徳寺の起源は、江戸時代初期の寛永5年（1628年）に遡ります。当初は、現在の東京都文京区本郷周辺にあたる江戸の金助町に、真宗佛光寺派の門徒たちの聞法道場として建立されたと伝えられています。

しかし、江戸の町は火災に見舞われることが多く、西徳寺も例外ではありませんでした。創建から約50年の間に、特に大きな被害をもたらした天和の大火（1682年）など、幾度となく火災に遭い、三度にわたり焼失するという受難を経験します。度重なる火災の脅威から逃れるため、当時の住職と檀家は協議を重ね、寺院をより安全な場所へ移転することを決定しました。そして、天和3年（1683年）、現在の所在地である竜泉（現在の東京都台東区）への移転を果たし、新たな歴史を刻み始めます。

移転後、西徳寺は江戸幕府の時代から明治維新を経て、その後も着実にその基盤を固め、発展を続けていきました。しかし、大正12年（1923年）に発生した未曾有の関東大震災により、再び大きな試練を迎えます。この大地震によって、それまで大切に護られてきた本堂は無残にも全壊してしまいました。

震災後の復興は急務となり、寺院の再建計画が進められました。そして、昭和5年（1930年）に本堂が再建されますが、その建築様式は当時の寺院建築としては非常に画期的なものでした。耐震性・耐火性に優れた鉄筋コンクリート造が採用されたのです。木造建築が主流であった時代において、現代的な工法を取り入れた本堂の建立は、災害への備えと未来への展望を示すものでした。この鉄筋コンクリート造の本堂は、現在も西徳寺の中心としてその姿を留めています。

近年では、2019年に公開された映画「WELCOME TO JAPAN 日の丸ランチボックス」のロケ地としても使用され、劇中では「大日本鎖国寺」という架空の寺院として登場し、新たな一面を見せました。

文化財

西徳寺には、歴史と信仰の深さを示す複数の文化財が所蔵されています。特に注目されるのは、以下の二つの彫刻です。

木造阿弥陀如来立像
木造聖徳太子孝養像

これらはいずれも東京都台東区の指定文化財となっており、地域における西徳寺の文化的意義を示しています。

著名人墓所

西徳寺の境内には、日本の伝統芸能である歌舞伎界に多大な功績を残した著名人の墓所があります。特に、十七世中村勘三郎と、その息子である十八世中村勘三郎という、歌舞伎中村屋の歴史を彩った二代の歌舞伎役者の墓がここにあります。多くの歌舞伎ファンや関係者が、彼らの冥福を祈り、功績を偲んで墓所を訪れます。

交通アクセス

西徳寺へは、公共交通機関を利用して容易にアクセスすることができます。最寄り駅は東京メトロ日比谷線にあります。

東京メトロ日比谷線 三ノ輪駅: 1b出口より徒歩でおよそ8分です。
東京メトロ日比谷線 入谷駅: 3出口より徒歩でおよそ8分です。

いずれの駅からもほぼ同じ所要時間で、アクセスしやすい立地となっています。歴史ある寺院の静寂な雰囲気を感じながら、ゆっくりと参拝することができます。

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