西志賀遺跡

西志賀遺跡：弥生時代の息吹を伝える貝塚遺跡

西志賀遺跡は、愛知県名古屋市西区から北区にかけて広がる、弥生時代の重要な低湿地遺跡です。庄内川左岸の微高地に位置し、現在の貝田町から西志賀町にかけての地域に広がっています。周辺には、朝日遺跡や月縄手遺跡、名古屋城三の丸遺跡といった、同時期の遺跡が点在しています。

遺跡の特徴

西志賀遺跡の最大の特徴は、弥生時代の大規模な貝塚を擁していることです。弥生時代の貝塚は全国的にも珍しく、その存在は学術的に非常に貴重です。また、遠賀川式土器の東限としても知られており、当時の文化交流や распространениеに関する重要な情報を提供してくれます。

研究史

西志賀遺跡の存在が初めて確認されたのは、1792年（寛政4年）のことです。綿神社の西方で川を掘削した際、大量のハマグリの貝殻が出土し、この出来事がきっかけで、その地域が「貝塚」と呼ばれるようになりました。

本格的な学術調査は、1930年（昭和5年）に始まりました。吉田富夫が志賀公園造成工事中に遺物を発見し、小栗鉄次郎が調査した結果、銅鏃が発見され、「西志賀貝塚」として発表されました。その後も数度の調査が行われ、1934年（昭和9年）には吉田が研究成果を発表しています。

第二次世界大戦後、1947年（昭和22年）から1953年（昭和28年）にかけて、東京大学、名古屋大学、明治大学、日本考古学協会がそれぞれ大規模な調査を実施し、弥生時代前期の遺物が大量に出土しました。

主な出土品

西志賀遺跡からは、様々な種類の土器や石器、金属器などが出土しています。中でも特に有名なのは、当地の地名を冠した「貝田町式土器」です。この土器は、弥生時代中期の土器であり、縄文的な要素と西日本的な要素を融合させた、独特の形状と文様を持っています。細頸壷が代表的な形状で、暗褐色の色調を持ち、櫛状の工具で数本の横線が描かれています。

収蔵施設

西志賀遺跡から出土した遺物は、名古屋市博物館をはじめ、京都大学総合博物館、独立行政法人文化財研究所奈良文化財研究所、明治大学考古学博物館、名古屋市見晴台考古資料館、名古屋大学考古学研究室、南山大学人類学博物館など、様々な施設で保管・展示されています。これらの施設を訪れることで、西志賀遺跡の歴史と文化に触れることができます。

西志賀遺跡は、弥生時代の生活や文化を知る上で非常に重要な遺跡です。今後の研究によって、さらに多くのことが明らかになることが期待されます。

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