西日本旅客鉄道鷹取工場

鷹取工場：西日本の鉄道車両を支えた名門工場

鷹取工場は、かつて兵庫県神戸市須磨区に存在した、西日本旅客鉄道（JR西日本）の車両工場でした。1900年（明治33年）に山陽鉄道によって開設され、2000年（平成12年）に100年の歴史に幕を閉じました。

歴史

創設から戦前

1900年（明治33年）3月1日、山陽鉄道が兵庫駅構内に開設していた兵庫工場の代替施設として建設されました。1909年（明治42年）には兵庫工場を吸収統合、1915年（大正4年）には神戸工場の組織を吸収して支工場とし、翌1916年（大正5年）に完全統合しました。1942年（昭和17年）には鷹取工機部に改称されました。

戦争の影響

1945年（昭和20年）の神戸大空襲で壊滅的な被害を受けましたが、戦後復興を経て、1946年（昭和21年）には高砂分工場を設置し、貨車修繕を開始しました。1947年（昭和22年）には高砂工機部として独立し、客車・気動車の修繕も手掛けました。

戦後

1947年（昭和22年）には昭和天皇が行幸し、工場職員を激励しました。1948年（昭和23年）には電気機関車の検修業務を開始。1950年（昭和25年）には鷹取工場の名称が復活しました。1969年（昭和44年）には蒸気機関車の検修作業が終了し、その後は電気機関車、ディーゼル機関車、電車の検修業務を行いました。1984年（昭和59年）からは気動車・客車の検修も開始し、新幹線車両以外のすべての車両を検修するようになりました。

特徴

鷹取工場は、蒸気機関車から電車まで、多岐にわたる車両の検修を手掛ける名門工場でした。特に、国鉄80周年記念行事の一環として、義経号の動態復元工事に携わったことは特筆されます。また、嵯峨野観光鉄道（嵯峨野トロッコ列車）用客車の改造も行いました。

阪神・淡路大震災と閉鎖

1995年（平成7年）1月17日に発生した阪神・淡路大震災で被災し、工場や入場していた車両も被害を受けました。入場中のC57形蒸気機関車1号機は大きな損傷を受けましたが、懸命の復旧作業で見事営業運転に復帰しました。しかし、震災の痛手は大きく、神戸市からの要請もあり、2000年（平成12年）3月31日に閉鎖されました。

閉鎖後

工場機能は網干総合車両所に移転し、跡地は駅前広場、バスターミナル、小学校、復興住宅、病院、マンションなどに再開発されました。一部はJR西日本の社員厚生施設や分譲マンションとして整備されています。

所属車両の略号

所属車両の車体に記されていた略号は、所属組織の略号と鷹取の電報略号である「タカ」で構成されていました。国鉄分割民営化後は「近タカ」、組織改正により「本タカ」、「神タカ」と変遷しました。

まとめ

鷹取工場は、日本の鉄道史において重要な役割を果たした名門工場でした。100年の歴史の中で、数多くの車両を検修し、鉄道技術の発展に貢献しました。震災からの復興と閉鎖は、時代の変化を感じさせますが、その技術と精神は、網干総合車両所に引き継がれています。

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