西日本社会人リーグ (ラグビー)

西日本社会人リーグとは

西日本社会人リーグは、かつて日本における社会人ラグビーの重要な一翼を担った地域リーグです。1972年度に幕を開け、2002年度にその歴史に幕を閉じるまで、九州ラグビーフットボール協会によって運営されました。当時、全国規模のリーグが存在しなかった時代において、このリーグは東日本社会人リーグ（後に東日本社会人リーグに統合された関東社会人リーグを含む）や関西社会人リーグと並び、日本の社会人ラグビーにおける最上位カテゴリーの一つとして位置づけられていました。

リーグの歩みと変遷

このリーグは、九州地方だけでなく、隣接する中国地方からもチームが参加していたことが特徴です。創設当初の1972年度には、新日鉄八幡、九州電力、西方自衛隊といった九州勢に加え、中国地方から東洋工業（現在のスカイアクティブズ広島）、淀川製鋼呉、山陽国策パルプの合計6チームでスタートしました。
リーグは次第に拡大し、参加チームが増加したことにより、1984年度（第13回開催）からは1部制から2部制（Aリーグ／Bリーグ）へと移行し、より多くのチームがそれぞれのレベルに応じた環境で競い合うことができるようになりました。
31シーズンにわたる開催を経て、西日本社会人リーグは2002年度をもって終了しました。これは、日本ラグビーの新たな時代を告げる出来事と連動しています。翌2003年に、日本ラグビー界の頂点を目指す全国リーグとしてジャパンラグビートップリーグが開幕。西日本社会人リーグに参加していた多くのチームは、このトップリーグ、あるいはその下のカテゴリーとして新設された地域リーグであるトップキュウシュウへと移行し、それぞれの活動を継続しました。

中国地方チームの参加という特色

本来、中国地方のラグビーチームは関西ラグビーフットボール協会の管轄下にあります。しかし、西日本社会人リーグには創設当初から中国地方のチームが参加しており、これはこのリーグのユニークな点の一つです。
その背景には、九州の社会人チームのレベル向上への強い意欲がありました。1968年から九州では社会人チームと大学チームが混在する「九州リーグ」が開催されていましたが、よりハイレベルで多くの社会人チームとの対戦機会を求める声が高まります。そこで、当時すでに全国的な強豪として知られていた新日鉄八幡から、地理的に近い中国地方のチーム、具体的には東洋工業、淀川製鋼呉、山陽国策パルプとの交流戦、そしてそれを発展させたリーグ戦の開催が提案されました。
この提案を受け、地域協会を跨いでのリーグ戦開催という異例の形式を実現するため、当時の九州協会と関西協会の書記長が会談し、調整が進められました。その結果、1972年度から「西日本社会人対抗戦」（後に西日本社会人リーグと改称）としてリーグが発足し、前述の中国地方3チームが初年度から参加することになったのです。この地域協会を超えた協力体制は、リーグの歴史を通じて維持され、後継リーグであるトップキュウシュウにも引き継がれています。

主な記録と功績

西日本社会人リーグの31年の歴史の中で、多くのチームが優勝を目指して熱戦を繰り広げました。特に、リーグ創設から終了まで全てのシーズンで1部リーグに在籍し続けた九州電力とマツダは、リーグの顔とも言える存在でした。
優勝回数ではマツダが最多の8回を記録しています。通算勝利数では九州電力が141勝を挙げ、トップでした。また、最長連続優勝の記録は、九州電力とサニックスがともに4連覇という形で保持しています。これらの記録は、当時の各チームの強さとリーグの競争の激しさを物語っています。
西日本社会人リーグは、全国リーグがなかった時代に、九州・中国地方の社会人ラグビーの競技力向上と普及に大きく貢献しました。多くの選手がこのリーグでプレーし、技術と経験を磨き、日本のラグビー界全体の発展に寄与したと言えるでしょう。その歴史は、現在のトップリーグやトップキュウシュウへと確かに受け継がれています。

もう一度検索