西本願寺の時間

「西本願寺の時間」は、京都に本山を置く浄土真宗本願寺派、通称お西の西本願寺が制作し、全国のラジオ局で放送されていた宗教番組です。長年にわたり、本願寺派に所属する布教使や各地の住職が、仏教、特に浄土真宗の教えや日々の生活における心のあり方について語る説話が放送内容の中心でした。

番組の大きな転換期となったのは、2014年8月です。この時期から、ジャズヴォーカリストとして活動する傍ら、坊守（寺院の住職夫人）でもある徂徠真弓（そらい まゆみ）氏が新たにパーソナリティとして加わりました。これに伴い、番組の形式も従来の説話朗読スタイルから、徂徠氏と様々な分野からのゲストを招いて対談する形式へと刷新されました。この変更により、より身近な視点から仏教の教えや価値観に触れる機会が提供されるようになったと言えます。

多くのリスナーに親しまれてきたこの番組ですが、残念ながら2022年9月末をもって、大半のネット局での放送が終了することが事前に発表されました。時代の流れやメディアの変化など、様々な要因があったものと推察されます。

しかし、全ての放送が完全に途絶えたわけではありません。北日本放送では、引き続き同じ「西本願寺の時間」という番組名を冠しつつも、放送内容と形式を変更して継続されています。同局では、午前6時から10分間の放送枠で、テレホン法話の音声を放送する形が取られています。これは、本願寺が提供する電話による法話サービスの内容をラジオで流すというもので、番組のスタイルは変われど、教えに触れる機会を提供するという役割は引き継がれています。

かつては多くの放送局で聴取可能でしたが、放送時間は各局によって異なっていました。また、文化放送では「西本願寺の時間」という番組名ではなく、「築地本願寺の時間」という名称で放送されていた時期もありました。これは、東京にある直轄寺院である築地本願寺が番組提供や内容の一部に関わっていたことによるものです。

「西本願寺の時間」の終了後、関東地方では築地本願寺が提供する後継番組として「あなたのそばに歎異抄」がスタートしています。また、東海地方においては、本願寺岐阜別院が提供する「本願寺岐阜別院「こころの窓」」が後継番組的な位置づけとなっています。このように、形を変えながらも、浄土真宗本願寺派によるラジオを通じた伝道活動は続けられています。関連するものとして、文化放送で放送されている番組「徳光和夫 とくモリ!歌謡サタデー」内でフロート番組として放送されていた築地本願寺提供の「徳さんとお坊さん」も挙げられます。また、本願寺の公式ウェブサイトでは、「本願寺ウェブブロードキャスト」として動画や音声の配信が行われており、ラジオ番組とは別の形で教えに触れる機会が提供されています。

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