西本馨

西本馨（にしもと かおる、1923年8月10日-2012年1月14日）は、昭和から平成時代にかけて活躍した、記憶に残る将棋棋士の一人です。大阪府大阪市福島区出身で、木見金治郎九段を師事し、棋士番号は52番。1948年、四段に昇段してプロ入りを果たしました。

プロ入り後は順調なスタートを切ったものの、その後、西本氏は後天的に視力を失うという困難に直面します。視力障害の影響は大きく、以前のような好成績は望めなくなり、1958年度の第13期順位戦C級2組では、0勝14敗という結果に終わって陥落。この後、15年間にわたる長く厳しい道のりが始まりました。

彼は予備クラス、そして奨励会A組（当時の奨励会三段が所属）で将棋を指し続けました。視力というハンデを負いながらも、持ち前の精神力で将棋への情熱を燃やし続けました。1972年前期からは休場し、奨励会B組（当時の奨励会二段以下クラス）に在籍。1973年10月、惜しまれながらも引退を決断しました。

引退後も西本氏と将棋界の関わりは途絶えることはありませんでした。1974年には、第1回将棋大賞で特別賞の候補にノミネートされました。これは、彼の将棋人生に対する功績と、困難に立ち向かう姿への称賛と言えるでしょう。2003年には盤寿を迎え、2006年には日本盲人会連合主催の全国盲人将棋大会において名誉審判長を務めるなど、高齢になっても将棋界への貢献を続けました。

私生活では、京都府舞鶴市に道場を開設するなど、後進の育成にも尽力しました。趣味は浪曲で、座右の銘は「人生は修行の道場なり」。この言葉は、彼の将棋人生、そして人生全般を象徴する言葉と言えるでしょう。まさに、困難を乗り越え、将棋を愛し続けた人生そのものでした。

数々の昇段を経て、1974年11月3日には贈五段、1989年11月17日には贈六段、そして2006年11月には七段に昇段。順位戦においてはC級2組を11期経験しました。

2012年1月14日、肺炎のため88歳で逝去されました。西本馨の生涯は、困難に立ち向かう不屈の精神と、将棋への揺るぎない情熱の物語として、これからも将棋界に語り継がれていくことでしょう。彼の功績は、後世の棋士たちにとって、大きな励ましとなるはずです。

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