西村吉雄

西村吉雄（1942年生まれ）は、日本の技術ジャーナリストであり、そのキャリアを通じて学術界と産業界の双方に貢献してきました。東京大学大学院工学系研究科教授、大阪大学フロンティア研究機構特任教授、早稲田大学政治経済学術院客員教授など、数々の要職を歴任しています。

満洲国遼陽市で生まれた西村は、戦後、一家で日本に引き揚げ、木場で製材所を経営する家庭で育ちました。1965年に東京工業大学理工学部電子工学科を卒業後、1967年には同大学院理工学研究科電子工学専攻修士課程を修了。その後、モンペリエ大学理学部固体電子工学研究センターに留学し、研究に没頭しました。

帰国後、末松安晴研究室で半導体レーザなどの研究に取り組み、1971年に東京工業大学大学院理工学研究科電子工学専攻博士課程を修了、工学博士号を取得しました。同年、日経マグロウヒルに入社し、日経エレクトロニクス創刊に参画。1972年には日経エレクトロニクスの副編集長に就任し、1979年には編集長に昇進しました。

1994年に日経BP社調査開発局長に就任した後、1995年に介護離職を機にフリーランスに転身。日経BP社の編集委員（契約社員）として活動を続けました。その後、夫婦で八王子市の老人ホームに入居したことがきっかけで、フルタイムで働く時間的余裕ができ、2002年からは東京大学大学院工学系研究科電気工学専攻教授を務めました。

2003年に東京大学を定年退官後も、大阪大学フロンティア研究機構特任教授、東京工業大学監事、早稲田大学大学院政治学研究科客員教授、九州工業大学特任教授、放送大学客員教授、日経BP社顧問など、多岐にわたる役職を歴任しました。

西村は、技術ジャーナリストとして、半導体産業や情報産業、産学連携、技術経営など、幅広い分野に関する著作を発表しています。主な著書には、『硅石器時代の技術と文明』、『半導体産業のゆくえ : メディア・ルネサンスの時代へ』、『テクノロジー・ワンスモア : エンジニアが語る技術と産業の未来』、『情報産業論 : ネットワーク時代の産業構造』、『産学連携 : 「中央研究所の時代」を超えて』、『電子情報通信と産業』、『電子立国は、なぜ凋落したか』、『イノベーションは、万能ではない』などがあります。また、編書や訳書、監修書も多数手がけています。

西村吉雄は、日本の技術ジャーナリズムの発展に大きく貢献した人物であり、その知見と経験は、学術界と産業界の連携を深め、技術革新を促進する上で重要な役割を果たしています。

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