西村周三

西村周三

西村周三（にしむら しゅうぞう、1945年10月7日 - ）は、日本の経済学者であり、特に医療経済学の分野における第一人者として知られています。京都大学の名誉教授であり、2020年度からは京都先端科学大学経済経営学部の学部長を務めています。

専門分野と業績

西村教授の専門は医療経済学であり、この分野の日本における草分け的存在の一人です。医療経済学は、医療サービスの供給と需要、医療費の効率的な配分、医療政策の経済効果などを研究する学問分野であり、西村教授はこの分野の発展に大きく貢献しました。

国立社会保障・人口問題研究所所長、医療経済研究機構所長といった要職を歴任し、医療経済学会の初代会長も務めました。これらの役職を通じて、日本の医療政策の立案や提言に携わり、医療経済学の知見を社会に広める役割を果たしました。2024年には、長年の功績が認められ、瑞宝中綬章を受章しました。

経歴

京都府出身の西村教授は、洛星高等学校を経て1969年に京都大学経済学部を卒業しました。その後、同大学院の博士課程に進み、1972年に中退。1988年には、「医療の経済分析」というテーマで経済学博士の学位を取得しました。京都大学では、助教授、教授、副学長を歴任し、教育・研究の両面で大学に貢献しました。定年退職後も、京都先端科学大学で教鞭を執り、後進の育成に力を注いでいます。

主な著書と研究

西村教授は、多数の著書や論文を発表しており、その研究は医療経済学の発展に多大な影響を与えてきました。

現代医療の経済学的分析（1977年、メヂカルフレンド社）
病院化社会の経済学（1983年、PHP研究所）
医療の経済分析（1987年、東洋経済新報社）
応用ミクロ経済学（1989年、有斐閣）
医療と福祉の経済システム（1997年、ちくま新書）
保険と年金の経済学（2000年、名古屋大学出版会）

これらの著書は、医療経済学の基礎理論から応用まで幅広くカバーしており、医療関係者や研究者にとって重要な参考文献となっています。

また、西村教授は、共編著や翻訳も多数手がけており、その知識と研究成果を広く社会に共有しようと努めています。特に、以下の共編著は、医療経済学の多様な側面を捉えた重要な著作です。

現代経済学の再検討（1992年、日本評論社）
超高齢社会と向き合う（2003年、名古屋大学出版会）
医療技術・医薬品（2005年、勁草書房）
医療経済学の基礎理論と論点（2006年、勁草書房）
行動健康経済学（2009年、日本評論社）
社会保障を日本一わかりやすく考える（2009年、PHP研究所）
* 社会保障と経済 1-3（2009-2010年、東京大学出版会）

社会貢献

西村教授は、研究活動だけでなく、社会的な活動にも積極的に参加しています。社会保障審議会会長や、特定非営利活動法人エビデンスベーストヘルスケア協議会の初代理事長・特別顧問などの要職を歴任し、日本の医療・福祉政策の発展に貢献しています。また、多くの講演やメディア出演を通じて、一般の人々にも医療経済学の重要性を伝えています。

西村周三教授の研究と活動は、医療経済学の発展だけでなく、日本の医療・福祉制度の改善にも大きく貢献しており、その功績は今後も長く評価されることでしょう。

もう一度検索