西武1形電気機関車

西武1形電気機関車およびA1形電気機関車

西武1形電気機関車およびA1形電気機関車は、かつて西武鉄道で運用されていた電気機関車です。これらの形式称号が与えられた電気機関車は、過去に3世代存在しましたが、いずれも事業者への早期譲渡により在籍期間は最大で7年程度に留まりました。

初代1形とA1形の登場

1形（初代）およびA1形は、信濃鉄道の電化完了に際し、1926年から1927年にかけて新製された電気機関車です。この機関車は、ウェスティングハウス・エレクトリック社製の28t級の凸形車体を備えています。信濃鉄道は、国有化後に鉄道省の管理下に置かれ、ED22形に形式称号を与えられました。その後、1948年と1956年にそれぞれ西武鉄道へ譲渡され、初代1形およびA1形として運用が開始されました。1形（初代）1は1948年に近江鉄道へ貸与され、その後正式譲渡されました。一方、A1形A1は1960年に松本電気鉄道へ引き渡されています。

2代目1形の特徴

戦後において西武鉄道が新たに発注した2代目1形電気機関車は、33t級の凸形車体を持つもので、1947年に製造されました。この機関車は、当初51形（初代）51として登録されましたが、1950年に国鉄からの払い下げにより1形（2代）1と改称されました。

3代目1形の特徴

3代目1形は、1923年に伊那電気鉄道向けに新製されたデキ1形電気機関車を前身としており、1955年に西武鉄道へ払い下げられました。これらの機関車は、主に多摩川線での貨物列車の牽引に使用されましたが、1960年には近江鉄道へ譲渡されました。

2代目1形の詳細

以下では、特に2代目1形について詳細に述べます。この機関車は、戦後に製造された西武鉄道の初の新造電気機関車で、軸配置はBo-Boの形式です。全長9,650mmの車体を持ち、中央部に位置する運転室の両側に主要機器が収納されています。

車体構造

2代目1形の車体は凸形で、直線基調の設計が特徴です。運転室は前後の機械室とともに配置され、運転者の視界を確保するために工夫がされています。運転室には乗務員の出入り用の扉と横に長い窓が設置されています。

主な機器

機関車には4基の主電動機が全軸に搭載されています。電動機は直流直巻電動機で、日本国有鉄道が採用した機種のライセンス生産品です。これにより、一定の出力を確保し、安定した運行が可能です。

運用終了と譲渡

1号機は1955年に栗原鉄道へ譲渡され、同年9月には正式にED35形ED351（初代）となりました。また、2号機は豊橋鉄道に移籍し、後にデキ1000形の1001として運用されましたが、1984年には解体されたため、現在は両車両ともに現存していません。

このように、1形およびA1形電気機関車は、短期間ながらも西武鉄道の歴史において重要な役割を果たしました。それぞれ異なる背景を持ちながらも、電気機関車としての機能を十分に発揮し、各地で活躍したことが大きな特徴と言えるでしょう。

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