西洋旅案内
『西洋旅案内』
福澤諭吉が1867年に著した『西洋旅案内』は、彼がアメリカに渡った際の経験を基にした実用的な旅行ガイドです。上下2巻からなり、西洋旅行を計画する際に役立つ知識や注意事項が網羅されています。特に、福澤は自身が謹慎中にこの本を完成させたことからも、彼の知識と経験に基づく貴重な内容が詰め込まれています。
成立背景
福澤がアメリカに渡ったのは軍艦の引き取りのためであり、目的がある中で外国に触れることは貴重な体験でした。しかし、上司に対する態度が原因で彼は帰国後に謹慎を命じられます。この期間を利用して執筆された『西洋旅案内』は、彼の知識の結晶です。彼自身も『福翁自伝』の中で、その経緯を語っています。
目録と内容
『西洋旅案内』は、主に以下の内容に分かれています。
巻之上
巻之下
食事とマナー
旅行者にとって特に気をつけるべき点も、福澤は詳しく述べています。例えば、日本で肉をそれほど食べない人は、船旅の際には普段の食べ物を少し用意することを推奨しています。また、タバコのマナーについても触れており、特に流行の外国風の食習慣には注意が必要としています。
タバコのマナー
福澤は、特に女性の前でタバコを吸うことが失礼だとし、この作法を守るよう助言しています。これは船の中だけでなく、上陸後も心掛けるべき文化的習慣です。
洋式トイレ
また、洋式トイレの使用方法についても言及しており、最初の外国旅行者が戸惑わないよう、具体的な使い方を示しています。日本の伝統とは異なる便所の形式に注意することが重要だと強調しています。
保険制度
附録では、商人の組合による災難請合、生命保険や火災保険、海上保険の仕組みについても解説されています。これにより、商業活動を行う上でのリスク管理の重要性が示されており、当時のビジネスマンにとっても役立つ内容です。
類似本と影響
『西洋旅案内』は非常に人気を博し、多くの偽版も出回りました。また、仮名垣魯文による戯作本『西洋道中膝栗毛』や、1906年に発行された『西洋旅案内外篇』があるなど、その影響力は計り知れません。福澤のこの著作は、当時の日本における西洋理解を深める貴重な一冊として、今なお多くの人々に読まれています。
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