西生浦倭城

西生浦倭城（せいせいほわじょう）

西生浦倭城（ソセンポわじょう、서생포왜성）は、大韓民国の蔚山広域市蔚州郡西生面に位置する、日本式の城として知られています。特に文禄・慶長の役の時期に加藤清正によって築かれたこの城は、現在でもその形態をほぼ保った状態であり、多くの歴史的な価値を有しています。

構造

西生浦倭城は、蔚山市の中心から南へおよそ15kmの距離にあり、海に面した小高い200mの山の上に築かれています。周囲は入り江になっており、城の北側には川が流れています。城は山城として構造されており、山頂には本丸、山腹には二の丸、そして麓には三の丸が配置されています。本丸には天守も存在しており、戦乱の時代における実戦的な機能を果たしていました。

今日では、山頂と山腹にわずかに残る石垣がこの城の遺構となっており、朝鮮半島における倭城の中でも特に保存状態が良好です。日本に存在する城跡の多くは、江戸時代に大名や幕府の権威を示すために改修された「見せる城」であるため、当時の実戦用城郭の貴重な遺跡となっています。そのため、築城研究や歴史研究の重要な参考資料となっているのです。

歴史

西生浦倭城の築城は1593年に加藤清正によって始まりました。翌1594年には、文禄の役に関連する和平交渉が城内で行われました。この交渉は、朝鮮側の記録によると4回にわたって行われています。

1597年には慶長の役が始まり、加藤清正の軍が西生浦倭城へ展開し、全羅道および忠清道方面を掃討するために出撃しました。この際、浅野幸長が城に駐留していました。同年の末には、北隣に築城中の蔚山倭城が攻囲され、加藤清正は急報を受けて急遽、軍船に乗り蔚山城に向かいました。1598年の初頭には、救援に向かう日本軍の集結拠点となり、1月2日に出撃を行い、4日に明・朝連合軍を撃退したという「蔚山城の戦い」が行われました。この戦いの後、加藤清正は蔚山城の守備に専念することになり、毛利吉成がその後に在番しました。

豊臣秀吉の死に伴い、1598年11月には日本軍が帰国することとなり、西生浦倭城も放棄されることになりました。城を守っていた黒田長政も撤収し、その後、無人となった城には麻貴率いる明・朝連合軍が入城しました。その後、1599年には文禄・慶長の役で戦死した人を弔うために蒼表堂が建てられました。

交通手段

西生浦倭城へのアクセスは便利で、蔚山市外バスターミナルから鎮下（ジナ）や海雲台（ヘウンデ）行きの市外バスに乗り約30分。鎮下で下車し、そこから徒歩5分ほどで到着します。また、蔚山市内では225番または715番のバスに乗り、西生浦倭城前で降りればすぐに城に到着します。

時を経ても多くの歴史的背景を有し、多くの人々に訪れられるスポットとなっている西生浦倭城は、今も昔の面影を残しています。

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