麻貴

麻貴（マ・クウイ）

麻貴（ま き、マ・クウイ）は、中国明朝末期の武将であり、朝鮮氏族である上谷麻氏の始祖としても知られています。彼はイスラム教を信仰する回族出身で、その生涯は軍事的な功績と、一族の繁栄によって彩られています。

生涯

麻貴は万暦20年（1592年）に寧夏で発生した哱拝（ほうはい）の乱において、総兵官として鎮圧に貢献しました。父は麻禄、兄は麻錦であり、一族揃って武人としての才覚を発揮しました。

朝鮮出兵（慶長の役）

麻貴は、文禄・慶長の役（日本では文禄の役、慶長の役と二つに分ける）において、明の将軍として朝鮮に派遣されました。万暦25年（1597年）末には、楊鎬（ようこう）と共に日本軍に対する攻勢を開始。蔚山城の戦いでは、加藤清正が守る蔚山倭城を攻略しようと試みましたが、その堅固な守りの前に失敗に終わりました。

万暦26年（1598年）の再度の攻勢では、麻貴は東路軍を率いて忠州、安東、慶州を経由し、再び蔚山倭城を攻撃しました。しかし、前回の失敗を踏まえ慎重に行動したため、9月下旬には小競り合い程度で終わりました。この戦いについては、『乱中雑録』に「賊丸如雨。天兵被害。不知其數」と記録されており、明軍にも大きな被害があったことが伺えます。

万暦38年（1610年）3月から万暦40年（1612年）4月まで、麻貴は遼東総兵官を務めました。

一族

麻氏一族は、多くの将才を輩出し、その家丁によって構成された軍閥は強大でした。その勢力から、李成梁一族と共に「東李西麻」と並び称されました。麻貴の一族は以下の通りです。

麻禄（麻貴の父）：大同参将、宣府副総兵を歴任。
麻錦（麻貴の兄）：山西総兵官。
麻承勲（麻錦の子）：遼東副総兵、都督僉事、南京後府僉書。
麻承恩（麻錦の子）：都督同知、宣府・延綏・大同総兵官。遼東に派遣されるも退却したため死刑宣告を受ける。馬800頭を献上して罪を免れたが、麻家の衰退の原因となる。
麻承詔（麻錦の子）：寧夏参将。哱拝の乱で功績を挙げた。
麻承訓（麻錦の子）：薊鎮副総兵。
麻承宣（麻錦の子）：洮岷副総兵。
麻承宗（麻錦の子）：遼東副総兵。天啓年間の初めに沙嶺で戦死。
麻貴：本項の人物。備倭総兵官。

参考文献

参考文献は割愛します。

関連項目

李如梅
陳璘
* 麻舜裳 - 麻貴の曽孫

麻貴は、明朝末期の動乱期において、その武勇と一族の力で歴史に名を刻んだ人物と言えるでしょう。

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