西科仁

西科 仁

西科 仁（にしな じん、本名：西科 孝仁（にしな たかひと）、1978年4月13日生まれ）は、かつて吉本新喜劇で活躍したお笑い芸人であり、現在は舞台俳優、演出家として多方面で活動しています。岐阜県揖斐郡池田町出身で、岐阜県立池田高等学校を卒業後、エンターテインメントの世界に進みました。現在はEVE COMPANYに籍を置いています。

吉本新喜劇でのキャリア

西科氏は、大阪NSCの20期生として芸能活動をスタートさせました。同期には麒麟やアジアンといった人気コンビが名を連ねています。当初は本名の西科孝仁として活動。養成機関YSJを経て、1999年に吉本新喜劇に入団しました。

新喜劇の舞台では、その特徴的な外見――強面で角刈りの髪型（過去にはパンチパーマの時代も）と、同期の麒麟・川島明氏にも匹敵するほどの深みのある低音ボイスを武器にしました。これらの個性的な要素は、主にヤクザや悪党といった役柄に活かされ、観客に強い印象を残しました。また、時に戦闘服を身にまとう異色の役や、共演者のぢゃいこ氏に気絶させられ、そのまま抱え上げられるというユニークな掛け合いも見られました。

辻本茂雄氏が座長を務める公演で頻繁に出演し、伊賀健二氏、平山昌雄氏、山田亮氏といった面々と共演することが多かったようです。実年齢では伊賀氏や山田氏よりも年下でありながらも、落ち着いた、あるいはやや老けて見える容貌から、年上の役を演じることが少なくありませんでした。驚くべきことに、実年齢で18歳も年上の内場勝則氏の親友役を演じた経験もあります。

2005年後半頃からは、単なる悪役にとどまらず、物語の根幹に関わる重要な人物や、他の出演者へのツッコミ役も担うようになり、役者としての幅を広げました。主要人物を演じた例としては、親が異なる設定の伊賀氏の兄（この回、山田氏は次男として出演）や、烏川耕一氏が演じる小説家に対する偏愛的なファンといった、個性豊かな役柄があります。

事故と転機

新喜劇在籍中の2001年には、『クイズ!紳助くん』の過酷なロケ中に痛ましい事故に見舞われました。両手の親指を除く8本の指先が凍傷にかかり、治療の結果、片方の手の人差し指は第一関節から切断せざるを得ないという大きな負傷を負いました。他の指は治療によって回復に至りました。

2006年、西科氏は長年活動してきた吉本新喜劇からの退団を決意しました。その理由は、東京を拠点に俳優として新たな道を追求するためでした。

現在の活動と芸風

新喜劇退団後は、主に舞台を中心に活動の場を移し、俳優としてだけでなく、演出家としても才能を発揮しています。劇団において、作品の演出を手掛けるなど、舞台芸術の創造に深く関わっています。

彼の芸風やギャグは、「自分の武器はオカマ声から超低音まで出せること」と本人が語るように、「声」を活かしたものが特徴的です。例えば、

「あんた刃物持った相手に立ち向かうなんて、りっぱなぁ～父親やぁ～なぁ～～」と歌舞伎役者のような独特の抑揚と声色で語りかけるギャグ。
共演者との掛け合いで「俺は西科、俺が周りの人間に何て呼ばれてるか知ってるか?」「何なんですか?」「西科くんや!」「普通やん!くん付けしてるだけやん!」という、期待を裏切るような展開で笑いを誘うもの。
頻度は多くないものの、セリフの語尾に「…可愛いのぉ」と独特の言い回しを加えることもありました。
「『鈴木』という名前で予約していた西科ですけど」という、名字を間違える設定のギャグ。

共演者からの「イジリ」としては、前述のぢゃいこ氏とのユニークな関係性や、辻本氏、伊賀氏から「加齢臭の匂いがするで」といじられるなど、キャラクターを生かしたやり取りがありました。

演出家としての活動

演出家としては、いくつかの舞台作品を手掛けています。

「悲しみの時効～消せない心の涙～」（2011年）
「素敵なウェディングプランナー 幸せの香り」（2012年）
* 「人生の春は何度もやってくる～努力すれば、なんくるないさ～」（原作・安里賢次）

これらの活動を通して、西科仁はコメディアンとしての経験を糧に、表現者、そして作品を生み出す演出家として、多岐にわたる才能を示しています。

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