西脇順三郎学術賞

西脇順三郎学術賞：人文科学分野を担う若手研究者を支援する賞

慶應義塾大学文学部は、2015年に創設125周年を迎えました。これを記念し、文学部を継承する将来を担う若手研究者への期待を込めて、新たな研究奨励賞として「西脇順三郎学術賞」が設立されました。本賞は、人文科学分野における優れた研究業績をあげた研究者を顕彰することで、その更なる発展に貢献することを目的としています。

受賞対象となる研究と応募資格

西脇順三郎学術賞は、文学、文献学、美学美術史学、語学、および芸術に関連する幅広い研究分野を対象としています。対象となるのは、質の高い研究成果をあげ、将来性豊かな研究者です。

応募資格は、慶應義塾大学の専任教員、または慶應義塾大学文学部卒業者・文学研究科出身者・社会学研究科出身者で、原則として50歳未満の研究者とされています。人文科学の諸分野における深い知識と洞察力を持ち、独創的な研究成果を挙げていることが求められます。

選考基準と授賞

受賞者の選考は、厳正な審査プロセスを経て行われます。専門家からなる選考委員会が、応募作品の内容、学術的貢献度、独創性などを総合的に評価し、受賞者を決定します。

西脇順三郎学術賞は、原則として偶数年に授与されます。これは、同時期に設立された「井筒俊彦学術賞」と隔年交互に授与されるという制度に基づいています。井筒俊彦学術賞は奇数年に授与されます。それぞれの賞は、人文科学の異なる領域をカバーし、多様な研究を支援する役割を担っています。

これまでの受賞者と受賞作

西脇順三郎学術賞は、2015年の第1回から現在まで、多くの優れた研究成果を表彰してきました。過去の受賞者と受賞作は、人文科学における多様な研究テーマとアプローチを示しており、今後の研究の発展に大きな影響を与えていると言えるでしょう。以下に、いくつかの受賞作を紹介します。

第2回（2016年）： 若松英輔『叡知の詩学：小林秀雄と井筒俊彦』（慶應義塾大学出版会、2015年）
第3回（2018年）： 種村和史『詩經解釋學の繼承と變容：北宋詩經學を中心に据えて』(研文出版、2017年)、滝藤早苗『ライヒャルト：ゲーテ時代の指導的音楽家』(慶應義塾大学出版会、2017年)、小川剛生『兼好法師：徒然草に記されなかった真実』(中央公論新社、2017年)
第4回（2020年）： 西田文信『ナムイ語文法の記述言語学的研究』(東北大学出版会、2019年)
第5回（2022年）： 大串尚代『立ちどまらない少女たち 〈少女マンガ〉的想像力のゆくえ』(松柏社、2021年)
* 第6回（2024年）： 小平麻衣子『なぞること、切り裂くこと：虚構のジェンダー』(以文社、2023年)、桑原夏子『聖母の晩年：中世・ルネサンス期イタリアにおける図像の系譜』(名古屋大学出版会、2023年)

これらの受賞作は、人文科学の多様な領域を網羅しており、それぞれの分野において重要な貢献を果たしているといえます。

西脇順三郎学術賞の意義

西脇順三郎学術賞は、人文科学分野における若手研究者の育成と支援という重要な役割を担っています。優れた研究成果を挙げた研究者を顕彰することで、人文科学の更なる発展に貢献すると同時に、将来を担う若手研究者への励みにもなっています。今後も、西脇順三郎学術賞が人文科学分野の発展に大きく貢献していくことが期待されます。

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