西部のあばれもの

『西部のあばれもの』(Tall in the Trap、1962年9月1日公開)は、トムとジェリーシリーズの短編アニメーション作品です。4:3の標準サイズで制作され、ジーン・ダイッチが監督を務めました。舞台はアメリカ西部。ジェリーはチーズ泥棒として指名手配されており、度重なるチーズ盗難に悩まされるチーズ店店主は、無能な保安官に不満を爆発させます。

ついに保安官は「ネズミ捕りの名手」を雇うことを決意。その知らせを聞き、ジェリーは怯えます。そして登場するトムは、ローラースケート代わりに靴に取り付けた拍車を回転させながら颯爽と現れるのですが、途中で転倒し、勢い余って保安官詰所に突っ込んでしまうという、まさかの登場です。保安官に名刺を見せますが、今度はネズミ捕りに自分の指を挟んでしまうという、不運なスタートを切ります。

保安官から「ジェリーを捕まえろ」と命じられたトムは、ジェリーを捕まえようとしますが、ベルトが外れてズボンが脱げてしまうというハプニングに見舞われます。このみっともない姿をジェリーに嘲笑され、トムはジェリーを追いかけることになります。しかし、トムはジェリーを捕まえることができず、逆にジェリーに自身の武器を奪われ、反撃を受ける羽目になります。ジェリーの隠れ家ではハンマーで殴られ、ドンパチ酒場では地下室に潜むジェリーを捕まえようと猟銃を構えますが、ジェリーが明かりを消してはトムが戻り、明かりを点けるといういたずらに遭い、最終的に自ら明かりを消して階段で転倒し、猟銃で撃たれて黒焦げになってしまうのです。

ジェリーの隠れ家の穴に仕掛けたネズミ捕りに自らの尻尾を挟まるなど、ことごとく失敗するトムは、最後の手段としてチーズ店から持ち出したチーズ保存用樽に火薬を詰めた爆弾を使用しようとします。しかし、ジェリーが事前に樽に穴を開けていたため、火薬がこぼれ出し、トムが落とした葉巻の火が火薬に着火。計画は失敗し、トムは爆風に巻き込まれ、保安官詰所も吹き飛ばしてしまいます。黒焦げになった保安官に追いかけられる中、ジェリーは最後のチーズを盗み出すことに成功するのです。

本作では、MGM作品おなじみのレオ・ザ・ライオンのオープニングはなく、いきなり本編から始まります。タイトルクレジットにはライオンの絵とMGM社名、そして「CARTOON」の文字が描かれた指名手配ポスターが登場します。

トムは「ネズミ捕りの名手」として保安官に雇われますが、序盤からドジばかりです。ローラースケート代わりに拍車を回して走ったり、ネズミ捕りに自分の指を挟んだりします。ジェリーを捕まえようとしますが、ベルトが外れてズボンが脱げ、ジェリーに嘲笑されます。その後も、ジェリーに様々な方法で反撃され、最後は爆弾に巻き込まれてしまいます。

ジェリーは天才的なチーズ泥棒です。俊足と知略を駆使してトムを翻弄し、何度もトムの攻撃をかわします。巧みな罠と策略でトムを出し抜き、最後のチーズを盗み出すことに成功します。

保安官は、ジェリーのチーズ盗難に手を焼いており、トムを雇いますが、結局ジェリーを捕まえることができず、最後はトムに詰所を吹き飛ばされてしまいます。

チーズ店店主は、ジェリーによる度重なるチーズ盗難に業を煮やし、保安官に訴えます。しかし、最後はジェリーに最後のチーズまでも盗まれてしまいます。

この作品は、1964年から1990年頃までTBS系などで放映されました。また、1953年公開のハンナ・バーベラ作品『インディアンごっこ』と同様に、火薬が原因で爆発に巻き込まれるシーンがあります。

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