西郷吉兵衛

西郷吉兵衛の生涯

西郷吉兵衛（さいごう きちべえ）は、幕末の薩摩藩に属し、鹿児島城下で活躍した士族であり、通称は当初「九郎」でありましたが、後に「吉兵衛」と名乗りました。彼は西郷隆盛と西郷従道の父としても知られています。家格としては御小姓与であり、勘定方小頭を務めました。

生い立ちと経歴

吉兵衛は文化3年（1806年）、西郷隆充の長男として誕生します。文化11年（1814年）、彼は弟の西郷小兵衛とともに藩主である島津斉興に初めてお目見えを果たします。彼の人生の中で重要な出来事の一つは、文政10年（1828年）12月7日、長男の小吉（後の西郷隆盛）が誕生したことです。

天保5年（1834年）、吉兵衛は通称を「九郎」と改め、さらに天保6年（1835年）には弟の小兵衛が大山綱毅の養子となりました。弘化2年（1845年）には御勘定方の小頭に任命され、弘化4年（1847年）には父の隠居により家督を継ぐことになります。当時の石高は47石ほどでした。

その後、嘉永2年（1849年）に家名を吉兵衛と改名し、嘉永2年12月3日（1850年1月15日）に起こったお由羅騒動のおりには、赤山久晋の死を見届けています。最終的に嘉永5年（1852年）に父隆充が他界し、吉兵衛自身もその年の9月27日に亡くなります。当時の石高は41石余りであり、彼の墓所は曹洞宗松原山南林寺に建てられていますが、後に常盤町へ改葬されました。

家族と親族

吉兵衛の家族には、父の西郷隆充、母の四本氏、そして兄弟の大山綱昌がいました。また、夭折した姉妹も存在したと言われています。妻は椎原政佐であり、彼らの子女としては長男の西郷隆盛、長女の琴、次男の西郷吉二郎、次女の鷹、三女の安、三男の西郷従道、四男の西郷小兵衛がいます。

エピソード

吉兵衛はお由羅騒動の際に赤山靭負の介錯を行ったとの誤解が広まっていますが、実際にはこの役割は剣豪の加藤新平に依頼したとの説が有力です。実は、吉兵衛の祖父が名の知られた剣士であったため、この誤解が生じたと考えられています。

また、彼は日置島津家の家来である四本氏を通じて、家政上の世話を行う御用人としての役割を果たしました。臨終の際には赤山靭負の意志を汲み取り、その死を見届けています。さらに、赤山から受け取った血衣を西郷隆盛に見せ、涙ながらにその最期を語ったと言われています。

弘化4年、吉兵衛は西郷隆盛と共に、薩摩郡水引郷にある油問屋の板垣家を訪れ、大きな借金をします。当初の借金は100両で、翌年にはさらに100両を借り、合計で200両に達しました。この借金は実際には早期に売られた石高の買戻しに使われたが、後に追加費用が必要とされることが明らかになり、結局当初の石高は47石を下回る41石余りになってしまいます。彼の借金は明治5年（1872年）に完済されました。

まとめ

西郷吉兵衛はその生涯において数多くの重要な役割を果たし、彼の名は子供たちや後の世代にも引き継がれていきました。彼の影響力や活動は、幕末の歴史において欠かすことのできない存在であり、今なお多くの人々に語り継がれています。

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