西郷正勝

西郷正勝の生涯と業績

西郷正勝（さいごう まさかつ、生年不詳 - 永禄5年（1562年））は、戦国時代における東三河八名郡の著名な国人領主であり武将です。彼は前の主である西郷正員の後継者としてその地位を受け継いでおり、通称は孫三郎や弾正左衛門です。また、彼の父は西郷元正と西郷清員という二人の兄弟であり、外孫には西郷局がいます。正勝の親子関係は明確ではないものの、彼の家系は戦国時代の中でも重要な役割を果たしました。

彼は当初、三河国を支配していた今川氏に属していました。この期間、彼は今川氏から一定の期待を寄せられていたようですが、戦国時代特有の権力闘争が影響し、彼の運命は大きく変わることになります。特に、彼の娘が遠江国の戸塚忠春に嫁ぐことは今川氏の命令によるものであった可能性があります。一方で、嫡子の孫六郎には今川義元から一字を受け継ぎ、家内の名誉を重んじられていました。

しかし、永禄3年（1560年）、桶狭間の戦いでの今川氏の大敗が彼の運命を変えます。戦後、正勝は松平元康（後の徳川家康）からの勧誘を受け、設楽貞通や菅沼定盈などの東三河の国人たちと共に松平氏に転属することを決めます。これによって、今川氏との関係は断たれ、以後松平氏のもとで活動することになります。ただし、今川氏からの復讐は避けられず、特に吉田城に捕らえられていた人質の甥、孫四郎正好に対して、今川氏の怒りが向けられました。この人質たちは、悲劇的な運命に見舞われ、龍拈寺での串刺し刑に処されたとされています。

永禄4年（1561年）、西郷正勝は自らの本城を築くことを決意し、月ヶ谷城を嫡男の元正に譲渡しました。その後、五本松城を新たに築き、三河西郷氏の本拠地としました。この築城により、彼は地域における権力の維持と拡大を目指したと考えられます。

しかし、因果は巡るもので、永禄5年（1562年）、彼は今川軍の攻撃を受けることになりました。三河国の東端を領有していた正勝は、遠江国から攻め込んできた今川軍に立ち向かいましたが、数の上で劣る彼の軍は次第に追い詰められていきます。この戦いで、長男の孫六郎元正は討ち死にし、正勝自身も悲劇的な結末を迎えることとなりました。彼は防戦中に自身の居館である五本松城に火を放ち、自害する選択をしました。

西郷正勝の物語は、戦国時代の混沌とした状況を映し出しています。彼の生涯は、権力の変遷、家族の絆、そして最期の選択を通じて、多くの教訓を残しています。戦国の武将としての彼の業績は、今後も語り継がれることでしょう。

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